第33話 初回の考古学会合
桜井が日本語で話し隣でキャサリンが英語に訳してマイクに向かって話した。
「まず最初に脅しから始めます」
この言葉に場内が騒然とし暫く収まるのを待って桜井が話し出した。
「皆さんは守秘契約書に署名されました、この場の出来事、会話は全て極秘です、米国政府からの発表前に一言でも漏らせば処罰の対象に成ります、この中には米国以外の国籍の方も多数いらっしゃいます、本国に帰れば本国政府からの開示要求もあるでしょう、しかしそれも拒否して頂きます、もし、漏らせば罰の対象に成ります、本国政府は守ってはくれません、信じて頂けないようでしたら、どうぞ報告して下さい・・・二度と国外に出る事は出来なくなります、これはお約束します。では、本題にはいりましょう・・・古代文明の専門家とお聞きしました、まずお聞きします、古代文明は何処の何と言う文明ですか・・・何方かお答え下さい」
皆の視線が最前列の中央に座る初老の男性に向けられた。
「メソアメリカ、アンデス、黄河、インダス、メソポタミア、エジプトの六つが古代文明だ」
「文明の定義は何ですか」
「国家を形成していた事、ある程度の人口がいた事、国土となる領域をもっていた事、農耕が行われていた事、文字を持っていた事、建造物があった事・・・だな」
「メソアメリカとアンデスには文字があったのですか」
「・・・」
「六つの文明の発生年代を教えて下さい」
「・・・紀元前4000から5000年前だ」
「テル・アブ・フレイラを勿論ご存知ですね」
「メソポタミア西部の遺跡だ」
「その遺跡には11000年前に穀物を栽培した跡があった・・・と何かの資料で見ましたが」
「それは年代測定の間違いだ」
「ギョベクリ・テペと言う遺跡は1万4000年位前の物と聞いていますが勿論ご存知ですね」
「それも年代測定の間違いだ」
「中国文明も一説には11000年前との事ですが」
「条件が満たされていない」
「条件のなにがですか」
「専門家でも無い者に話ても無駄だ」
「貴方は何のために考古学を発掘を行っているのですか」
「決まっているだろう、人類の歴史を知る為だ」
「只人類の歴史を知るならば中世でも近世でも様良いでしょう、何故古代なのですか、とお聞きしているのですが」
「中世、近代など下らない、やはり古代だろう」
「その言葉は中世や近世ょ研究している方に失礼なのではないでしょうか」
「そんな事は知った事では無い、第一貴様は何様のつもりだ、俺は考古学の第一人者だぞ、儂がノーと言えばノーなんだよ」
「貴方は古代文明の研究に人生を捧げているのですか」
「勿論だ、やっと解ってくれたようだな」
「では、専門家のご意見を伺いたいのですが、先日、エジプトのピラミッドとスフィンクスが輝いたのはご存じですね、あれは、どう言う事なのでしょうか」
「・・・」
「・・・」
「会長、副会長、専門家のご意見をお願いします」
「あんな物はまやかしだ、マジックだ、イリュージョンだ」
「そうですか、あれは何処かのイリュージョニストの仕業ですか」
「そうだ、それが専門家の見解だ」
「それが協会の総意でしょうか、何方か違う意見の方がいるのではないのですか」
「儂の意見に反対する者などいない」
「今の話は聞こえたと思います、皆さんの中にピラミッドの光がまやかしだとする意見以外の考えの方はいませんか」
キャサリンがサクライに言われて会場にいる人たちに問い掛けた。
キャサリンが会場を見渡すと吊られる様に会長と副会長も会場を見渡した。
静まり返った会場に突然一本の手が上がった。
「其処の手を上げている方、何か説をお持ちですか」
手を上げていた人物が手を下ろし立ち上がった。
「はい、宜しければ聞いて頂きたいのですが・・・」
「お前、私に逆らうのか」
会長が怒声を上げた。
「貴方は黙って居なさい、歳よりなのに若い者の話を聞く寛容さも無いのですか」
これはサクライの通訳では無く、キャサリン自らの言葉だった。
「さぁ、どうぞ、こちらに来てマイクにお話し下さい」
二十代後半か三十代前半と思われる青年が前にやって来て檀上に上がりマイクの前に立った。
「では、私の説をお話しします、ピラミッドとスフィンクスが光出してから光が消えるまでの時間を記録しました、ほぼ同時に光出しましたが消えたのは順番が有りました。
最初にメンカウラー王のピラミッド、次にカウラー王、次にクフ王、そして最後にスフィンクスです。
毎回、この順番に消えました。
そして、それぞれが消える間隔も同じだったのです。
何の順なのか、何か意味があるのかを考えました。
皆様ももうお気づきと思いますが、製造された年の新しい順に消えているのです。
そこでメンカウラー王のピラミッドの光が消えた時間とカウラー王のピラミッドの光が消えた時間の差を製造年に対比させました、そしてクフ王のピラミッドの消えた時間を製造年に対比させると一万年以上も前、約一万三千年と計算されました。
同様にスフィンクスも計算した処、一億年以上前になりました。
算出した私も驚きましたが、有り得無い事では無いと思います、今語られている建設年代に何ら物的証拠も無いのですから・・・以上が私の説です」
「馬鹿者、一万年前~、一億年前~、あるはずも無いだろう、大馬鹿者め、主催者の顔を立てて聞いてみれば、馬鹿な説を言いおって、貴様なんぞ学会から追い出してやる」
檀上の青年の顔が蒼ざめ苦渋と後悔に歪んだ。
「今更、後悔しても遅い、貴様は追放だ、儂に逆らいおって」
青年はぶるぶると震え出したが突然開き直ったのか、顔を上げると老人の顔を睨み付けた。
「何だ貴様ねその顔は、その目は、儂に逆らってこの業界で生き残れると思うなよ」
そこでサクライが間に入って英語で言った。
「会長、貴方にそんな権限はありませんよ」
「何だと貴様こそ誰に向かって言っているのか解っているのか、この東洋の山猿が」
サクライがまた話そうとした時にキャサリンがマイクをひったくり話だした。
「おい、そこのボケ老人、お前こそ誰に向かって言っているのか解って無い様だね、お前こそもう終わりだ、もうお前は今後一切飛行機には乗れない、海外には船で行くんだね、第一この人はプロジェクト・リーダーなんだよ、この部屋で一番偉いんだよ、大統領の、アメリカの大統領の指名なんだよ、解って無いのはあんたの方さ」
とても綺麗で上品な顔立ちの娘から出た言葉に会場の全員が息を飲み驚いた。
荒い息遣いの後、大きく深呼吸をしてキャサリンがまた話し出した。
「会場の皆さまにお詫び致します、私がこれほど怒りを感じた事が有りませんでしたのでお見苦しい処をお見せしました、えぇなんですか、皆さま少々お待ち下さい」
サクライがキャサリンに何事かを言い、キャサリンがとても驚き暫くサクライの話を聞いていた、
そして、最後にサクライがスーツの懐から書類を出し渡した。
キャサリンは渡された書類を何枚か読み時々顔を上げ会長と副会長を睨み付けていた。
マイクの前に帰って来たキャサリンの眼はまた怒りに満ちたものに変わっていた。
「ここに何枚かの書類があります」
「何の書類だというのだ、その書類がこのプロジェクトに何の関係がある」
「この文書によると貴方は車をお持ちですね、フェラーリと言う車をね」
「嘘だ、そんな車は持っていない」
「他にベンツが一台にレクサスもお持ちですね」
「そんな車は持っていないと言っているだろう」
「車以外に別荘をナッソーとモナコにお持ちですね」
「そんな別荘など持っていない」
「貴方も往生際の悪い方ですね、ここに協会運営費からケイマン諸島の貴方の口座への振り込み、そしてケーマンから車両販売会社と不動産会社への入金の証明書があるのですが、どう言う事でしょうか」
「そんな物は偽物だ、儂は知らん」
「本当に往生際が悪いですね、貴方の彼女たち、奥様以外の女性たちの証言もあります、彼女たちは素直なようですよ、隣にお座りの副協会長はいかがですか、貴方も往生際が悪いのですか」
「わ・わ・私ですか、私が何か」
「ここまで言えば貴方の証拠も揃っている事はお分かりでしょう、それともケイマンとスイスの銀行は顧客の情報を漏らさないと思っているのですか」
彼ら重鎮たちを回りの各国の人たちが怒りの眼で見つめ始め騒めきが起き始めた。
会長と副会長が立ち上がり周りを見渡しながら叫んだ。
「今のは全部、嘘だ、でっち上げだからな、信じるなよ、私に逆らえばどうなるか解っているだろうな」
「・・・」
「・・・」
会場がまた静かになった。
「どうだ私の力が解ったか、貴様の言う事など誰も信用などしないのだよ、解ったか」
「はい、解りました、貴方がこの協会には必要無いと言う事が良く解りました、貴方のその尊大な態度と軽薄さからこれまでに何人の論文を自分の論文にしてきた事かと想像されます」
「何を儂が他人の論文を盗用したと言うのか、何処に証拠がある」
「証拠、証拠ですか、証拠ならここにいっぱいありますよ」
「何処にある、見せてみろ」
「ここにいる人達ですよ、貴方と隣の方に盗用された方が何人いるでしょうね~」
会長がまた立ち上がり周りを見渡し叫んだ。
「しゃべったらどうなるか解っているだろうなぁ」
「本当に往生際の悪い方ですね、副会長、貴方はどうですか、そろそろ観念しませんか、それともその隣の財務責任者の方、貴方が正直に話しますか」
突然、指名された財務責任者はぶるぶると震え出した。
「皆さんは幾らだと思いますか、三人が着服したお金の総額は???」
会場内がまた騒めきだした。
「100万ドル」
誰かが大きな声で金額を言った。
会場内の騒めきが一段と大きくなった。
「200万ドル」
「300万ドル」
「500万ドル」
会場がまるでオークション会場になったかの様に金額が叫ばれた。
「煩い~」
会長がまた叫んだ・・・が今度は誰も耳を貸さず静けさは戻らなかった。
暫くして、サクライが右手を上げると何故かピタッと会場が静かになった。
サクライが話、驚いたキャサリンが英語でマイクに向かって言った。
「8000万ドルだそうです」
「8千万ドル~」
「貴様ら~」
「恥を知れ、恥を~」
罵声が会場中に響き渡った。
会長、副会長、財務責任者の三人にはもう抗議する力は無かった。
サクライがキャサリンに何かを言いキャサリンがマイクに向かった。
「この中で盗用された方は挙手をお願いします」
瞬く間に会場が静かになり、暫くして一人が手を上げるとまた一人手を上げ次々に手が上がり総勢17人になった。
「やはり、人様の論文盗用で今の地位を保持していたのですね、しかし、これだけ多いとは、自分の説も無い方が他人の説に文句を言う資格があると思うのですか、まぁ貴方がたに節度と常識を期待しても無駄ですね、あぁ、そうそう、言い忘れましたが、このプロジェクトにはNSA、FBI、CIA、シークレット・サービス、米国三軍、Nasaにインターポールも参加しています、論文盗用は脅迫罪と窃盗罪、公金着服・私的使用は窃盗罪、米国だけで無く各国からと企業からの寄付金も含まれていますのでFBIとインターポールの担当ですね、盗用については正規の作成者を調査し即刻マスコミを通して国際的ですからNSAとインターポールから発表して貰いましょう、この場での身柄拘束はFBIの方にお任せします、お願いします、会議の邪魔になるだけですから」
会場の壁際に立っていた人たちが三人に近づいて行った。
「この証拠の書類はFBI長官を通してお渡しします、言っていない罪もありますので」
キャサリンがFBIの捜査官と思われる人物に伝えた。
三人は後ろ手に手錠を掛けられ項垂れてとぼとぼと部屋から出て行った。
その間、部屋の中は誰もいないかの様に静まりかえっていた。
「プロジェクト・リーダーは、ここに居るミスター・サクライですが現場のリーダーが必要です、と言うのも、これから皆さんには世界中の遺跡調査をして貰う事になるからです、その遺跡のほとんどは、此れまでに知られていない物です、中には既に知られている物も在りますが新たな手法で調査を行います、きっと驚く新発見がある事でしょう、大いに期待して下さい。
では、皆さんをまとめる代表者は先程の青年にお願いします、言っておきますが年齢は関係ありません、会長、副会長に屈していた人たちには任せられないと言う事です、彼にはミスター・サクライとの連絡係も兼ねて頂きます、まず彼にはこの会議のメンバーを10の組に分けて貰います、これをグループとし長と副長を選定して下さい、このグループ毎に発掘場所へ派遣されます、では新たな代表者にご挨拶をお願いします」
突然、代表者に指名された青年は緊張の面持ちでマイクの前に立った。
「私はイギリス考古学協会に所属するジョナサン・シーモアと申します。
突然の大任に戸惑っていますが、皆さんのご協力でプロジェクトに貢献したいと思います。
よろしくお願い致します」
会場中に拍手が広まった。
だが、拍手しているのは若者たちである事がキャサリンには気掛かりだった。
「ここには197名の方・・・いえ194名の方がいらっしゃいます。
彼にグループ分けをと申しましたが、既にこちらで10組に分け組リーダー・・・これからはチーフと呼びます、チーフも選定してあります。
その前にもう一度、確認させて頂きます。
このプロジェクトに参加したく無いと思われる方は今直ぐに退出して下さい。」
キャサリンが暫く会場を見渡したが退出する者は一人もいなかった。
「では皆さんが参加と言う事で携帯電話とパッドとノート・コンピューターを回収致します、ご安心下さい、代わりの物を提供致します、当然ですが通信料金の自己負担はありません、入っているデータはそのままです、お渡しする機器は情報漏洩対策が万全です、今後一切のセキュリティーに関する心配は無用になります、通信環境は世界中のどんなに辺鄙な処でも良好です。お渡しする電話、パッド、ノート・コンピーター此れは今後ノートPCと呼びます、自宅にデスクトップ・コンピーターをお持ちと思いますが今後一切使わないで下さい。データは全てサーバーに保存されます、お使い頂ければ解りますが通信速度は内部保存と変わりません、必要なアプリが有ればヘルプ・デスクへご要望下さい、対処致します。」
キャサリンが話している間にまだは携帯電話が配られ恥じるていた。
「携帯電話を手にした方は、まず生体セキュリティの設定として画面を親指でタッチして下さい。その後、暫く画面を見ていて下さい、それで指紋認証と顔認証と光彩認証が設定されます。パッドもノートPCも同様です、中身のダータも元の通りのはずです、ご確認下さい。確認の為もう一度言っておきますが、貴方方のプライバシーよりも機密が優先されます、当然お渡しした機器にはGPSが内臓されています、そして母国に帰りそれらの機器を政府機関などが調べ様とすると内部は崩壊しプロジェクト・メンバーから外れる事になります、政府に対し機器の情報を得るよりもプロジェクトに参加し続けるメリットを伝えて下さい。勿論、私たちも同様の機器を使用しています、プライバシーは無くなりますが安全は保障されます、何処の政府が相手でも保障します、信じられないでしょうが信じて頂くしかありません、そこで再度、確認します、納得出来ない方はご退席下さい」
キャサリンが再度会場を見渡したが誰も退席せず立ち上がる者、迷う素振りを見せる者さえいなかった。
機器が順に渡され指紋、顔、光彩を登録して行った。
会場中が騒めき登録作業について話合い、機器を立ち上げて余りの画面の綺麗さと速度の速さと以前の機器のデーターの漏れの無さに驚いた、皆が驚いた。
実は皆が手にした機器はデータが入っていない全く同じ物で生体認証に寄って所有者が決定し繋がるサーバーの接続先も決定される様になっていたのである。
「皆様に渡される物は他にもあります、まずは腕時計です、時計をされない方もいらっしゃると思いますが、今からは着けて頂きます、この時計はGPSは勿論、皆様の健康管理も行います。なお、高級時計をお持ちの方もいらっしゃるでしょうがご安心下さい、この時計にはダイヤモンドが装飾されその価格は1万ドルです」
キャサリンは時計が皆に配られこれまで着けていた時計が回収されるのを見つめた。
「時計の画面が赤く点滅している方はこの会議の後で別室に行って頂きます、残念ですが何等か(ナンラカ)の病気があります、プロジェクトの作業に参加して頂く前に病気の治癒が先になります、病気と申しましたがご安心下さい、2、3日で完全治癒致します」
全員の着けていた時計が回収され新たな時計を付け終わると治療の必要な者は27名であった。
「配布される物は他にもあります、まずはご家族の時計、携帯電話、家庭のテレビなどの電子機器全てです、これはプロジェクトに参加された皆さまのご家族の安全を確保する事と盗聴を防止する事を目的としています、ご家族の方のノートPCも同様です・・・ここで皆様の中には監視されるのかとご心配の方もいらっしゃる事でしょうが監視ではありません、皆様の安全確保が目的です、次は情報漏洩です、情報を漏洩した方は即座にプロジェクトを抜けて頂き、規約違反で起訴させて頂きます、それは自分が参加者である事、誰が参加者か、何処に行ったか、何を見たか、何を発見したかなどプロジェクトに関する全てです。
この様に話すとまるでプロジェクトから抜けてほしい様に聞こえるでしょうが違います。
その証拠に貴方がたに魅力的な発掘する遺跡の一つをご紹介します、一つです・・・他にもありますが、今は一つでけご紹介します。では、ご覧下さい。」
キャサリンがサクライの言葉を通訳した途端に正面の壁に映像が映り、部屋が暗くなった。
映像は何処かの小高い丘を映していた。
「この丘は何処にでもある小さな丘の様に見えますが・・・」
画像の丘の土が少しずつ消え始め光輝くピラミッドの先端が現れた。
「これは此れまでに人類が発見していない遺跡です、場所が何処か、何処にあるのか気になると思います、私も気になるわ、あぁ失礼しました、此れは私の気持ちでミスター・サクライの言葉ではありません、では、場所をお知らせしましょう」
また、キャサリンが通訳した途端に画面が上空からの物に変化して行きどんどん上空からの映像になりとうとう宇宙からのものになった。
「この未発掘のピラミッドはアメリカ合衆国ネバダ州のエリア51と呼ばれる処に存在します、今、現地では大騒動になっている事でしょう、現在見えている部分は約2メートルです、全体はエジプトのクフ王のピラミッドと呼ばれている物と同じ大きさです。
どうですか、発掘に参加したいと思いませんか。
最初の皆さんの現場はここになります、10のグループ全員で行って貰います。
では、最後にもう一度お聞きします、最後です、このプロジェクトを抜けたいと言う方はご退出下さい」
キャサリンが見渡すと皆は正面の画像に目が行き立ち上がる者など居なかった。
「では、皆さんが参加と言う事でこれからお持ちの携帯に所属するグループのリストが表示されますのでグループ毎に集まって下さい、左の手前から第一グループで時計周りに2、3と別れて下さい、どうぞ」
携帯には所属するグループのメンバーの写真、名前、年齢、略歴が乗っていた。
皆がグループ毎にわいわい、がやがやと騒がしく分かれ集まり自己紹介が始まっていた。
「それでは皆さん、これからの予定をお知らせします。
これから皆さんには一度帰宅して頂きます、一週間後に再度集まって頂き現場へ行くことになります、発掘には一か月以上掛かりますし、他の発掘現場へ行く事も有り得ます、皆様は長期の発掘に慣れている事と思います、もしも、国に帰りたくない、帰れない方はご相談下さい、では、本日は此れにて解散です、ご苦労様でした」
会場に居た者たち、考古学者は勿論、警護のNSA、FBI、CIAの者たちも全員が知らされた情報に頭が着いて行かない様で質問も無く一人、二人と会場を後にして行った。
無論、警備の者たちと檀上の人たち以外である。
「ミスター・シーモア、貴方にはお話しが有ります、少々お時間を下さい」
「ミス・ヘイウッド、ジョナサンと呼んで下さい、勿論です、私もお聞きしたい事も有りますので」
「では、午後のお茶でも飲みながらにしましょう、ミスター・ヘーゲン、貴方もご一緒にいかがですか」
「喜んでお供させて頂きます、ミス・ヘイウッド」
「お二人とも、私の事はキャシーと呼んで下さい、ヘイウッドはもう一人居りますのでね」
「おぉそうですな、お会い出来て光栄です、上院議員」
「こちらこそ、ミスター・ヘイゲン」
「私の事はアレックスとお呼び下さい」
「貴方とは今後会う機会が増えそうですね、アレックス、私は立場上愛称でと言う訳にはいきません、申し訳ありませんが」
「はい、承知しております」
キャサリンが先導して中庭のカフェに本日二度目の来店となった。
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