ガイア
イミドス誠一
第1話 彼の夢
ある日の朝、男は目覚める前の少しの時間に夢を見ていた。
その夢は洞窟の中へ入り岩に向かって話し掛ける・・と言う不思議なものだった。
その次の朝、男は又夢を見た。
前の日の夢に関する物で洞窟の場所を示す物だった。
その夢は余りにも現実感があり実際に其処に行けば洞窟がある様に思えた。
彼は45歳の独身だった。
人に結婚しないのか・・・と問われると昔は仕事が忙しくて・・・と答えていたが、最近はモテナイと答えていた。
彼は同性愛者では無い、女性に興味が無い訳では無い。
会社では女性と話もする・・・が恋愛には発展しない・・・させない。
彼には趣味と言うか好きな事が多くあり、その邪魔になると感じていた。
女性と一緒に住んだ事もあったが2週間しか続かなかった。
今では寝る時間も少し早くなったが以前は夜中の1時、2時が普通だった。
彼は睡眠は無駄な時間と考えていたのだ。
生活習慣、リズムが普通の人とは異なる様で彼女は彼に変える事を強要し彼が拒否し別れた。
只、単に睡眠時間だけでは無い、趣味・趣向が他人と異なる様だと知らされた。
彼は仕事帰りに毎日の様にジムに通い体力作りをしていた。
休みの日には神社仏閣巡り、時々、旅行へも行っていた、場所は神社仏閣、遺跡だった。
休暇が取れると海外へダイビングへ行ったり遺跡などの世界遺産巡りをしていた。
趣味で知り合った女性でも他の趣味が合わない。
彼は若い時に老人に教えて貰った人との付き合い方を実践していた。
その方法とは誰に対しても優しく接すると言うものだった。
身分、服装、立場、役職に捕らわれず全ての人に優しく丁寧に接すると言うものだ。
何故なら人は二種類に分類されるそうだ、優しくされるとその優しさに甘える様に更なる優しさを求める人と優しさに優しさで返す人の二種類である。
年齢が自分より下だと思っていたが確認すると実は上で判った途端に言葉使いが変わるなどとなる、服装が普通なので大した身分、地位の人では無いと付き合っていたら何処かの会社の社長だった、居酒屋などで知り合いになり友達になった時などにある事である。
彼は優しさを優しさで返してくれる人を求めていたが残念な事に中々その様な人はいない。
優しくするとその優しさに着け上がる人が多い。
彼は自分に人を見る目が無いのか自分の希望が高すぎるのか、と悩んだ時もあった。
そんな彼にも彼女と呼べる女性はいた事が何度かあった。
彼女たちの多くは彼の多趣味に付いて来れず「我がままだ」「自分勝手だ」「私とどっちが大事なの」などと言い去って行った。
そんな中にも彼の多趣味を好きにさせてくれる女性もいた。
慎重な彼は同棲から始めたが結局一緒に住んでみると優しさに優しさで答えてくれなくなり性格の地が出て来るのか更なる優しさを求める様になった。
そんな事が2度あり自分は他人との共同生活には向いていないと理解、納得した。
実は彼は20才の時に自分の多趣味も含めて他人との共同生活つまり結婚は無理との結論に達していた、が、それ以後も試してはみたがやはり無理かと諦めていた。
洞窟の夢は何日も続いた。
彼はネットでいろいろと調べたが世界には洞窟が多く有名なものだけでも大量に存在していた。
それらを何日も掛けて丹念に調べ、一か所に絞った。
それはオーストラリアの西海岸の有名な街「パース」近郊にある洞窟だった。
幸い彼は金銭的には余裕があった。
彼の趣味の一つはダイビングであり、その目的で世界中のダイビング・ポイントに精通していた。
だが、会社勤めの彼には時間的な制約があり、中々思う処にダイビングに行けていなかった。
オーストラリアのダイビング・スポットは北東部のグレート・バリアリーフだ。
そこの情報を得ようとネットで調べている内にダイビングとは余り関連の無い西海岸の情報も得ていた。
彼の他の趣味、古代史の関連でである。
地球が誕生し酸素が作られる過程で「ストロマトライト」が重要な働きをした・・・とテレビで見ていた、そしてその「ストロマトライト」が現在も存在する場所がオーストラリア西海岸の「シャーク湾」と言う処だったからである。
彼は次回の旅は北東部を諦め西海岸へと決めた。
彼は早速、翌日に休暇を申請した、予定は3週間後からの10日間だった。
彼はシステム・エンジニアで仕組みを考えるが時々は自分でプログラムを組む事もあった。
その為、予定は自分で把握できるので申請は当日には承認された。
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