メッセージ

hiroumi

1日目 【終わりの始まり】

中国の国家機密で運営されている研究所から生物兵器であるウイルスがれた。


山間やまあい人気ひとけの少ない街の地下にある研究所に勤務している研究員がうっかり作業手順を間違えて、密封された箱からガラス管を取り出す前にふたをしなければいけないところをふたをせずにそのまま取り出してしまったのだ。


周りにいた同僚は「またアイツがミスしてる」と失笑して、誰も彼を助けようとはしなかった。それでも研究所の施設は厳重に警備されているのでウイルスが外にれることはないだろうと研究員たちの誰もが思っていた。


ミスをした研究員は急いでガラス管に蓋をして、ウイルスが付着した可能性がある科学防護服と分厚いゴム手袋を消毒液をつけて洗面台で執拗しつように菌を洗い流している。


一番遠い場所で作業をしながらそれを見ていた研究員のリーダーが近づいて来ると、いつもミスをしている研究員のチャンに声をかけて「連日の残業続きで疲れているんだろ。今日は帰っていいぞ」と帰宅を促すのだった。


洗面台で手を洗いながらチャンは黙ってうなづき、リーダーの温かい言葉で緊張がほぐれて硬かった表情は和らいだ。


チャンは研究で使った道具類を片付けて、書類を整理し帰宅する準備をしている。このときにまたチャンはミスを犯してしまう。


道具箱に科学防護服を挟み込んでしまったのだ。慌てたチャンは服を引っ張って、はさまった服をむりやり取ろうとした。

道具箱に挟まった服は取れず、冷静になって考え道具箱を開けてそっと服を抜き取った。


このときに目に見えないほど小さな穴が化学防護服に開いてしまっていたがチャンは気づいていなかった。


定時になったのでチャンは研究所の出入り口にあるエアシャワーを浴びてから外に出て帰っていく。


チャンは帰宅途中の帰り道でこじんまりした飲食店に立ち寄って、定食を食べるのが日課だった。


お腹がいっぱいになったが帰るにはまだ時間が早い。久しぶりの定時での帰宅なのでチャンはスーパーに立ち寄って酒とつまみを買いあさった。


自宅のマンションにつくとテレビをつけて酒を飲みながらつまみを食べ、ソファに横になってそのまま寝てしまった。


このときチャン自身も生物兵器であるウイルスに感染していることに気づいていなかった。







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