エンドレスエンド ~終わらない物語の終わり~
久遠悠
冒頭という名の暴投
あらすじ
誓暦1602年。
世界のすべての事象が格納されている正体不明の巨大な六角柱が発見されて、100年ほど。
人々は謎の建造物に〈創造の大樹〉と名をつけ、そこからありとあらゆる事象を引きだす技術を生み出していた。
たとえば、遅刻した時に学校に瞬間転移したい時。
たとえば、日照りが続いて天の恵みが欲しい時。
たとえば、好きな女の子に振りむいて欲しい時。
そんな時、人々は〈創造の大樹〉の深層に格納された
たとえば、遅刻した時に学校に瞬間転移したり。
たとえば、干上がった大地に雨を降らせたり。
たとえば、好きな女の子の気持ちを操作したり。
〈ヴァルテン機関〉と〈法石〉を利用し、人々は当たり前のように「その技術」を駆使して〈創造の大樹〉から超常現象を引き出して使っていた。
――ただし、金銭を対価として。
事象の規模と深度に応じた金額さえ支払えば、誰でも何でもできる――それこそ、死者の復活すら可能とする理想郷。
そこに、先天的な優劣や努力は関係なく、あるのは積んだ金貨の差だけ。
ゆえに、人々は皮肉の意味で「その技術」をこう呼ぶ――〈魔法〉と。
が。
「いや、金で魔法が使えるってなんかおかしいだろ!」
とツッコミを入れる少年がここに一人。
彼――チアキは、中等教育機関の卒業まで一年を控え、今日も今日とて友人に「金で魔法が使える世界」に対する文句を叫びながら、
そんなある日、チアキは謎の黒い影に追われる少女――アスカと出会い、盛大な謎の告白を受ける。
「私はあなたのことが大嫌いだ。なので、あなたが私を好きになりなさい」
「………はい?」
そこに、チアキを「パパ」と呼ぶ、記憶喪失の子供――セラも加わり、不思議な四人の共同生活が始まる。
――そうして〈エマヌエルの天使と悪魔〉に導かれ、チアキが選んだ選択肢とは。
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