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昨日見たのは、一体何だったのだろうか。


目が覚めたのは朝の8時。


全身にびっしょりと汗をかいていた。


気分を落ち着かせようと、キッチンに行き水を飲む。



嫌でも思い出してしまうのは、昨晩、枕元に立っていた男の腫れあがった顔。


子供の頃、漁師をしている近所のおじさんから聞いた話に出てきた水死体の特徴と酷似していた。



(何かを伝えたかったのか…?)


そう考えた瞬間、机の上に置いていたガラス瓶がパキッと音を立てた。


「あれ?」


しっかりと閉めていたはずなのに、蓋が外れてわきに置いてある。



コップを置き、瓶に近寄って中の紙を取り出した。


広げて驚いた。


昨日見た時はインクが滲んで読めなかったのに、文字がはっきりと書かれ読むことが出来るようになっている。


紙にはこう書いてあった。



『このビンの中に一緒に入れた指輪をB県C群に住む山内楓という人にわたしてほしい。

 本当は俺が彼女に会って…。いや、それももう無理な話だ。このヨットは沈んでしまうのだから。

 どうか、これを拾ったあなた、よろしく頼む。

 木一寛太』



ヨットが沈むという言葉と、走り書きされた汚い字から、木一さんの切迫した状況と切実な思いが伝わってくる。


最初、手紙を取り出すときに落ちたのが、あの指輪だったのだ。



B県C群の浜に流れ着いたこのメッセージボトルの中には、

同じくC群に住んでいる山内楓さんの為に木一さんが用意したであろうKtoKと刻まれた指輪。


それを拾った自分には、それを本人に届ける義務がある。



山内…。

どこかで聞いたことがある。


その女性の元へ行くには、

“今までのこと”を振り返る必要がありそうだ。


そして、“最初に紙に書かれていた文字”にも意味がある気がする。



しばらく考え込み、やっとの思いで山内楓さんの居場所を導き出した。


空腹ではあったが朝食も食べずに、指輪と瓶を持ってその場所へと向かった。




A山内楓に会いに行く。→真ENDへ

Bヒントを読んでから会いに行く。→21

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