第62話 5/22-B 疲れが溜まる年代
「何で今日になって動けないのー!」
なかなか起き上がれなくて午後あたりまで半ばうとうとして「起きなきゃ……」ばたん、を繰り返す奴を見つつ、アタシは作業に取り組んでいた。
「何でおめーは平気なんだよぉぉぉ」
うわごとの様に何か言ってるが。
「普段使っている筋肉の違いー」
その一言で終わる。ざまーみろ。普段こっちはそーとー手も腕も使う仕事してるんだ。加えて竹採りもなー。
まあその後、メシ食ってから浮かれて風呂に入ってその後呑んでだらーっと寝床に行ってあれこれしてしまった以上、アタシに原因の一つが無い訳でもないけど。
うーんストレッチ不足だったかね。
「まあ肘の下にサポーター巻いてからするんだね」
「それでいいの?」
「握る力は入りやすくなるからな。疲れがたまるかどうかは別だけど」
「そう…… そうだ! 何で今日だるだるなんだよー」
おそらくそれが実は愚痴のメインだ。
「そこがお前、二十代と三十代の違いだぜ……」
「あぅっ」
そう、これはアタシもじわじわと感じつつあるんだ。どーにも一日作業すると、翌日「ではなく」翌々日にあちこちに痛みが出てくるとか!
こいつと違って肉体労働が基本だから、「久しぶりにやったから痛い」はあまり無いけど、ストレッチとかはちゃんとやっておくべきかなー
と思って見たら、またうとうとしてる。本当にこいつ、放っておくと何時間でも寝るな。
陽が昇ってようが変わんねえ。眠りが浅いのか、よく寝言も漏らしてるんだけど、当人はさっぱりそのことを覚えてない。
さすがにそろそろ山キャンプしたほうがいいかね。
仕事も今一つ最近は来ないようで暇がってる。だったら家の中整理すればいいとも思うけど、どうもその気にはならないらしいし。
「いや本はそろそろ売らなくちゃなとは思うのよ」
そうは言ったが、売ったあとで「あれ読みたくなった」って買い直したこと何度あるんだ。
本棚はあるんだよな。ただどうしても手の届くところにものを置きたいって癖があるのがあかんわ。
昔から言われてはいるらしいんだがな。周囲に積む癖はよせ、っての。だけどどうも違うらしい。
積む癖じゃなくて、積んだことを忘れてるんだよな……
積んだことを忘れて次の本を出してきてまた積んで忘れる。その繰り返しで山になる。そんでその状態が作業の邪魔にならないならそのままにしておく。
その繰り返しが今の結果なんだが。
ともかくたまには背を押さなくちゃなあ。梅雨も近い。
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