第55話 5/14-A フォローとわ。
という話をまあこいつはいつも付き合ってくれるんだよなあ。その辺りはいつも感謝してる。
だって専門の連中と話していると、何かもう気が抜けない。
新しい情報が欲しいよなーという時にはいいんだけど、そうでないと常にマウント取りになりかねない。
ちなみにワタシがこいつに言ってることは専門の連中だとまず「知ってて当然」事項だ。
「その後どう?」
「忙しくてー」
「論文書けそう?」
「今年はどうせこれだからともかく手持ちの資料で深めてみるさー」
とか何とか。
ゼミで一緒だった連中は学校教諭になったり大学にそのまま残って研究者になったり、全く無関係の企業で忙しかったり。それでも何とか時々論文書いては発表会に出る様な連中だ。
そんで今横で濃厚接触してる奴は、そういう世界とは無縁だ。
無縁だからこそ、真面目に聞いてくれるってことがありがたい。
まあ大体一度で覚えてくれるってことはない。というか一度で覚えるって言ったら驚かれた。そういうもんなのか、と昔ずいぶん驚いたもんだ。
何だかんだで平和な学校生活を送れたのはこいつのおかげだと思う。就職してしみじみ思った。ワタシは相当会話のテンポがおかしい。
だから会社では何で怒られるのか判らないことがよくあった。
んで、その都度よくこいつに泣きつく電話をした。メールは打つのが面倒だから直接電話してこい、って言われてたから。
いつもどういう状況だったのか説明して自分が言ったことと、上司が怒ったことをまんま説明した。
「あーそりゃ怒るわ」
と、大体こいつはそのワタシにとっての謎を解いてくれたもんだ。
そんで翌日「昨日は申し訳ございませんでした」とやったものだった。いやまじワタシには怒られる理由がさっぱり分からなかったんだわ。
ところがこいつに言わせると、何ステップか言うことが飛んでる、らしい。
自分ではそれが合理的だよな早いよな、と思っていたことが「いやそれはまずい」と指摘してくれて「何処が?」と聞くと何処其処とちゃんと「ここには謝って」「ここには気弱に」とかポイントをついた対応しろ、と言ってくれた。
「何でお前それわかるの?」
『学校の時もそうだったろ』
と言われてしまえばもう返す言葉がない。つまりそれだけワタシのフォローをこいつはしてきたってことだ。
「何それ面倒じゃなかったの?」
『他の奴なら面倒だけどさーお前じゃん』
なのか。とワタシは何か妙に納得した。
結果今はこうなんだからいいか。
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