第51話 5/10-A 胸の重いのは肩が凝る
全くもって現実とは斯くも非情だ。
毎年毎年いつも思う。
こいつときたら、半袖Tシャツ一枚で夏の暑い日に外に出てもただ焼けるだけなんだぜ!
こちとらもう三月の終わり頃から何となく手の甲や手首辺りにかゆみが出てくる。むずっ、と何か一点を刺した様な感覚が来たら「やべぇ!」と。そんで何となくひっかいてしまうと、そのまましばらく掻き毟ってしまうんだよな……
ひっかき過ぎて血が出てたの見てから、薬塗るから来いや! と奴が言い出した。
のでまあ今年も。
しかしまう最初そうなりだした頃は皆そうだと思ってだな。
「んなことない?」
そうあれは高校の時だった。一応聞いたんだぞ。
「ねえなー」
あっさり答えやがった。
それ以来ずっと、ワタシの夏はふわふわした長袖ばかりだ。
いや、大学とか、勤めていた時はまあここ程ラフな格好しちゃいなかったから簡単に半袖にはならないだけで済んだ。大概室内は冷房が効いてるしな。
こっちで気を抜いてたら、どっと出たと言えばそれまでなんだけど。
まあ紫外線過敏症と医者からも言われてるから、できるだけ出すなとか、そもそもの原因に近い湿布は貼らない方がいい、とも言われてるけど。
ただなー。
その湿布良く効くんだよ!
冗談じゃなく、一日で大体の肩こりとか筋肉痛とか退くんだよなあ。
消炎剤ってのは色々あるんだけど、医者にも言われたなあ。市販より医者くすりの方が強いし、その市販の中でも液体やクリームに比べて湿布が一番強いんだと。
……で、ワタシは仕事柄実に目と肩と腰にクるんだ…… 座り仕事の宿命だとは思うんだが、……何でこいつにはそれが無いんだ?
「それはだなあ、アタシは一応材料取りとか畑の手伝いで身体動かしてるからだぜえ?」
ついでに、こいつは一応中学高校と運動部に居た。身体の動かし方はワタシよりずっと判ってる。何かといや、身体ほぐすこともしてる。
だから肩や腰が凝った時には揉んでもらうこともあるし、……今もこーやって今もオロナイン塗ってもらったりもするんだ。
「日焼けは仕方ねーけどよ、ちったぁ動けや」
「動いてるだろ? 自転車でちょいとだけど」
「太るぞ」
「別に今更」
「……まあそれはいいか」
ぽんぽん、とこっちの胸を下から持ち上げて揺さぶる。むむむ。
「朝からやめい。お前いいよなー。重いんだよこれ」
「けどアタシには気持ちいいんだけどなー」
ついでに押し倒して顔埋めるの、やめれ。
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