第11話 4/16-A 夏の裏山の記憶
ちまちまちまちまちまちまちまちまちまちまちまちま。
出てくる単語をある一定の法則によって色分け……
するだけ! なんだけど、こ ま か い 。
集中する作業だから、昼間より夜中がいい。
んだけど!
昨晩はあいつの家で美味しいカレーを食らってしまったので眠気が……
「何でそんなんで眠くなるんだよ」
と昔からあいつは言うけど、仕方ねーだろ! ともかくどどっと睡魔が頭を締め付ける様にやってくるんだよ……
「おめーにはわかんないわいっ」
「そらそーだ、アタシゃアンタじゃない」
……この日の出と共に起きる奴め。
普段から朝早く起き出して、朝メシの前に裏山の竹林(どーも竹藪とはちと違うらしい)の方見に行って、使えそうなものを常に物色しつつ、伸びすぎた梅の枝を切ったり、桜に絡みつきすぎてるシダとかを取ったりしてるらしい。
ここ数年、夏はあんまり暑いんで時々裏山の奥でキャンプしてだらだら過ごす。だけど最初はさすがにその慣れっぷりに驚いたわ……
「おめー…… ブッシュクラフトできたんかよ」
「何それ?」
そんな横文字のたいそうなもんじゃねえ、とあいつは言う。
何でもじいさんからの教えらしい。桜の木の手入れと一緒に、野営の方法とか、そのへんの木や竹で椅子やらタープ張りとかできるんだと。
ただあいつにしてみりゃ、「タープ? 何それ?」なんだが。
手押し車に荷物積んででかけるんだが、日射しよけ、と適当にでかい布何枚も積んでく。
そんで適当にいいとこ見つけたら、細工には使えない竹を切ってきて、長さ揃えて麻紐で手際よく括って椅子やらテーブルやら当座使えるもの作れるんだぜ、こいつ!
さすがにテントはワタシが一緒だから、と市販品持ってくけど、一人で野営する時にはもっと適当らしい。
まあ何かあっても常にナタや鋸と仲がいいこいつだから大丈夫なんだがな。
てなことを時々アタマの半分で胡乱に考えつつ機械的に作業していたら、朝になってた。
まだいけるかなー、とぼんやりしつつも続けていたらあいつの声がした。
ということはそろそろ打ち止めかー。
ワタシは凝った肩や首をごきごき鳴らしながらコーヒーメーカーをセットする。
「コーヒー呑む?」
「呑むー」
うんそれでいい。
「ちょっと後で枕になって」
「いたずらするけど」
「えーよ」
気持ち良ければそのまま寝るし。
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