第26話油断

「着いたな...。」

時間がかなりかかったが、到着することができた。鉄製のフェンスが俺たちを出迎える。


鉄製のフェンスに囲まれた謎の場所。なぜかその場所には、大規模な火事が起こった形跡がある。そして地面にカモフラージュされた地下室への扉。その中に入るとほとんどの部屋の扉には鍵かかっているが、奥の扉だけなぜか開いていて、そこには霊体を封じ込めていたコンピュータがあった....。

考えれば考えるほど意味が分からない。だが今言ったことは紛れもない事実である。

「おい!ぼーっとするな!死にたいのか?」

理蟹先輩が俺を睨む。

「すいません。考え事をしてまして....。」

「考えるのは後にしろ。今はあのくそ野郎を、抹殺することだけに集中するんだ。」

先輩が怒るのも当然だ。何をやってる。俺。

「そうだよぉ~。油断したらぁ~すぐ死んじゃうよぉ~?」

声がした瞬間、俺の体は宙へうかんでいた。

なにが起こったのか理解できない。

ドカッ

体が地面へたたきつけられる。

「グッゥゥッ。痛い。クソッ!」

「今の蹴りで肋骨2本ぐらい折れちゃったかもねぇ。まあ心臓貫かれても生きてる君にとって、こんなのかすり傷程度だろうけどぉ。」

完全に気を抜いていた。

まずい。

「探す手間が省けた。ここで死ね!クア!」

そう言いながら先輩は”最強レーザー砲”をぶっぱなした。

だが避けられてしまう。

いや、違う!レーザーがクアに当たるのを避けているのか。

「ごあいにくもうとっくに死んでいる身でねぇ。アハハハッ。」

そう言いながら先輩に近づいていく。

レーザーを連射していくが全く当たらない。

「なんで当たらない!?私の”最強レーザー砲”じゃあ通用しないのか?」

「無理だよぉ!ボクがそこに倒れている雑魚と同じように油断してない限り、当たらないんだぁ。」

このままじゃ先輩がやられる!

でも脇腹が痛すぎて動けねぇ。

「やめろー!来るなあああ。」

先輩が叫び声をあげる。

「アハハハッ。君らしくもないねぇ。でもかわいいよぉ。大丈夫。いたぶりながら殺すからぁ!」

クアの手が先輩の首を捉えた。

先輩はバックをクアにぶん投げる。

苦し紛れの抵抗なのかもしれない。

万策尽きたのか....。

俺のせいだ。

俺が油断なんかしたから。

「これはぁ。最後の抵抗ってやつかなぁ!アハハハッ。面白いねぇ。」

「あながち間違いではないな。お前の最後という意味では。」

そう言いながら先輩は後ろへとダッシュで下がる。

「もう一度死んどけ。くそ野郎。」

その瞬間バックの中が赤く光を放つ。


そして、大爆発を起こした。

辺りは一瞬にして炎に包まれる。

「おい!早く逃げるぞ!誘爆するから、私たちも危ない!」

先輩が俺に呼びかける。

「すいません。動けないみたいです。置いていってください。」

「はぁ!?そんなこと出来るわけないだろ....!私の肩につかまれ!早くしろ!急げ。」

動けない俺に肩を貸す。

「すいません。」

自分の情けなさをかみしめながら、肩にもたれかかる。


「とりあえず、このくらい離れとけば大丈夫だろう。」

先輩がそう言った瞬間、さっきよりも大きな爆発が起こった。

「何を....やったんですか?バックが爆発したように見えたのですが。」

「なあに。”レーザーボム”をバックに詰め込んで爆発させただけだ。お前の持っているそれだよ。それを誘爆していけば、ああなる。」

この白いボールか....。威力強すぎだろ....。ちょっとした兵器じゃねぇか。

「これであいつを倒せたんですかね...。」

「恐らくな。」

先輩はそう答えながら、ただただ燃えさかる炎を見つめていた。悲しみと喪失感にさいなまれた目をしながら.....。








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