第15話痛み

4月25日(火)の朝

ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン

うるさいな。

ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。

インターフォンか?

ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。

まだ7時だぞ!朝っぱらから何のようだ?くそっ。まだ眠いっていうのに。

ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。

てかどんだけ鳴らすんだよ。

カメラで顔を確認しようとするが、画面が暗くてよく見えない。不振に思いながら、ドアを開ける。

ガチャリ

「誰ですか?こんな早くから。」

「こんにちはあー。この前は無視されてしまいましたが...。今度こそはお話しましょうよ。君の周りで起こっている意味不明なことについて。」

ん?知り合いか?

ああ!そうだ!コイツは以前、運動場で本を持ちながら走りまわっていた変態じゃねぇか。

「お前なに者だ?なぜ俺の家の場所を知っている?」

「一番最初の質問に答えることは...難しいですねぇ。ボクにも実際自分が誰なのかわからないんですからねぇー。とりあえず...彼がつけてくれた名前...クワとでも名乗っておきましょうか。あとこの場所はあなたが自分から、教えてくれたんじゃないですかあー。」

目の焦点があっていない。明らかにやばい奴だ。警察に連絡しないと。

扉を閉めようとするが閉まらない。全力でドアを引いてもびくともしない。こんな時にこわれたのか?

ドアを閉めようとする俺を押しのけて、部屋に無理矢理入ってきた。

「あなた不思議な人ですねぇ。普通の世界...あるべき世界のあり方がわかっているようじゃないですか。おかしいですねぇ。この地域の人たちはすでに記憶が、正常な人などいないはずなんですがぁ。」

なにを言ってるんだ。

「人の家に勝手に入ってくんな!」

クワと名乗った男の顔面を思いっきり殴る。

おかしい....手応えがない。たしかに当たったはずなのに。

「まあいずれにしても、あなたは危険ですねぇ。今のうちに殺しときましょうかあ。」

ドスッ

自分の胸の当たりに大きな衝撃を感じる。

確認してみるとちょうど心臓のあたりに、先の尖った氷柱みたいなのが突き刺さっていた。

「あ...。が。」

耐えがたい痛みと今まで感じたことがない熱に襲われる。この床にある血液、全部俺のかよ。これは...ヤバいな。

「そういえばあの人の娘なんて名前でしたっけぇ...。レ...ン?そうだあ。恋!あの子は苦しませながら殺すことにしよう。うん。それがいい!」

薄れゆく意識の中、その言葉は俺の頭の中を静かに反響した。

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4月25日(火)の朝 7時

ブーブーブー

これは...!

ユガミル改良機(改良機と言ってもたいして性能が向上したわけではない)が大きな磁場の乱れに反応している。

私の今いる自宅からはそんなに離れていないな。

よし!行ってみるか。


少し歩いて行くと黄色いアパートが見えてきた。

反応は小さくなってはいるが、このアパートの中になにか乱れの原因となっているものがあるはずだ。だが詳細な場所までは分からない。仕様がない。片っ端から調べるか。

ピンポーン。ピンポーン。

一階の部屋を調べ尽くしたがユガミルが反応する人間はいなかった。不機嫌な顔をして睨んでくる奴はいたが...。

二階に行くか...。

ピンポーン。ピンポーン。

だめだ。出てくれない人もいてちゃんと調べられない。ここで最後の部屋か。

ピンポーン。

反応がない。

ユガミル改良機の針がくるくるまわりこの部屋を指した。この部屋なんかあるな。

もう一回インターフォンを鳴らす。

ピンポーン。

反応がない。

ドアノブを試しに回してみる。

キィィィィ。

ドアが開いた。

玄関のところで男が血だらけになって倒れている。死んでいるのか?いや。呼吸はしているみたいだ。

「おい!大丈夫か?今すぐ救急車を...。」

その男の顔を確認する。

「.....。なんでお前が。」

倒れている男が知り合いだという事実を一瞬受け入れられなかった。





























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