普通の定義
酸化する人
第1話普段の生活
普通の男子高校生というのが、日本人男性の平均身長162センチをマークし偏差値50の高校に通い(一本丘高校)その中でも学力は真ん中ぐらいであり、優しい母親と厳格な父親に育ててもらい、朝ご飯はお米を必ず食べ、昼ご飯は売店にあるパンで済ませ、夜は気が向けば自炊する(これでも立派な一人暮らしをしている)というものであるのならば、俺はいたって平均的な日本の高校生というものに分類される。まぁ高校生になったのもつい最近なのだが。
高校生ならみんな一度は考えたことがあるだろう。なにか普通ではないことが起こらないかなと。
しかし、俺の普通という定義は間違っていたのだろうか。そんな風に今、俺は自分自身を疑わずにはいられなくなっていた。
時は遡り1週間前の4月20日(木)
今日の昼飯どうしようかなどと考えながら教室の後ろの窓際の特等席で、休み時間をだらだら過ごしていると最近知り合った富田が話しかけてきた。
「次の授業体育だから着替えないとやばいよ。」
「体育担当の岡村が風邪ひいて寝込んでいるから、自習らしいぜ。」
「お、ラッキー。でも4月なのに風邪かぁ。」
「まぁ、そんなこともあるだろう。」
などと言っているとチャイムがなり自習の時間が来た。
自習といっても新入生である俺たちがやることは特になく、前後で話しているやつもいれば熟睡してるやつもいた。一応これは授業なんだがな。かく言う俺も今日の昼ご飯についてまだ考えているのだが…。そのまま平和な時間が過ぎていき、チャイムの時間がなる五分前になった。窓をぼんやり眺めていると一人の一本丘高校の男子生徒が体操服で運動場を走り回っていた。体操服から推測するに、あの男子生徒は一年生である。あれ?今は一年生は全員自習のはずなのだが…
勘違いしてんのか?まぁ富田も俺が自習と教えなかったら、すぐに着替えて運動場へ走りに行きそうな勢いではあったのだが….
それを考えると勘違いしているやつがいても不思議ではない。
だがその男子生徒は何かを持ちながら走っている。ここからは距離があるが、俺は島育ちが原因か視力が異常によい。視力検査での評価でAより上のSがあるのならば、余裕でS評価をとれるぐらいの自信がある。その俺が目をこらして男子生徒の持っているものをみると、重そうな古い本を持っていたのがわかった。なんだあれは?なんか中二病の人間が好んで持っているような魔法の本みたいな本だな。変なやつだな。関わりたくないねぇ。などと思いながらもう一度、男子生徒の顔を確認すると……こちらを見ながら薄らと笑っていた。
正直言って、正確に俺のほうを見ていたか見ていないかははっきりとはわからなかったが、やつに関わるのはやばい(いろんな意味で)と俺の本能がそう言っていた。
~キーンコーンカーンコーン~
終わりのベルが鳴り、昼休みが始まった。
散々悩み、焼きそばパンを選ぼうとしたが、すでにコッペパン以外なくなっていたので選択の余地がなかった。なんかついてねぇな。
その後は特に何もなく1日が終わった。
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