四 FIAT 500X 弐
招待された理由は解らないが、ブレーブでは初めてだったので好恵はとても喜んだ。しかし、朱理は余り嬉しくなかった。それほど政治に詳しいわけではないが、ニュースを観ていると民自党は好きになれないし、芦屋首相は軽薄そのものでとても総理大臣に相応しいとは思えない。出来れば参加したくないが、社長だけではなく、チーフマネージャーの荒木早紀もめずらしく顔を
とても断れない、そう思っていると、遙香が朱理の気持ちを代弁するかの様に参加すべきでないと言い出した。理由を問われると、「嫌な予感しかしません」と答えた。
そんな子供のワガママみたいな理由で不参加に出来ないはずなのに、好恵は永遠自身がどうしたいかどうかを尋ねた。
「わたしは……あまり参加したくありません」
やはり、自分の意見はハッキリ言ったほうがい良い。
「永遠ちゃんがイヤなら、仕方ないわね。早紀ちゃん、いい?」
「社長がいいなら反対する理由はありません。だいたい、私は民自が
早紀は妙に「キライ」に力を込めた。民自党は「すべての女性が輝く日本」などと
好恵も早紀もあれほど喜んでいたのにアッサリ引き下がった。母が何かしたのではないかと疑いたくなったが、二人は仕事と個人的な感情を分けていたのだ。芸能事務所としては総理大臣主催の会に呼ばれれば箔が付くので喜んだが、個人的には好きな組織ではない。招待された本人が嫌なら、無理強いはしないというスタンスだ。
永遠が参加を断った二ヶ月後、『紅葉を見る会』を総理が私物化していないかと国会で問題になり、マスコミも大々的に取り上げるようになった。母の予感は見事に的中したのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます