単騎で数々の逸話を残した伝説の冒険者ヴァンに憧れて、パーティーも組まずに常にソロで冒険するグレン。しかし、仲間のいない一人での冒険はあらゆる危険が自己責任。たびたび命を落としそうになるグレンだが、そのたびに助太刀してくれたりポーションを投げてくれたりと謎の女騎士が助けに来てくれる。これは大変ありがたい……はずなのだがどうも毎回タイミングが良すぎる。まるでこちらのことを監視してるかのように……。
そんなソロ冒険者と怪しいストーカー女騎士によるコメディ色強めな冒険譚。
一見、周りから浮いた行動を取っている登場人物たちだが彼らの行動原理がきちんと説明されており、キャラもしっかり立っていて非常に読みやすい。
ストーリーもギャグを交えて軽やかに進み、ストーキング疑惑の真相が判明したところでさらにひと波乱起こったりと物語に起伏をつけつつエピローグまで描ききっている。
ダンジョン探索を扱っていて、あまり長すぎない作品を読みたいというときにはピッタリな中編だ。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)