席はどこにでもある
"生きなくていい人なんてひとりもいないのよ。"
"ひとりもいないなら、何も無いのと同じじゃないか。"
ポッカリーネは少し笑いました。
穏やかに笑ったまま、続けます。
"誰にだって座る席はあるの。"
"...僕にだって?"
ポッカリーネはまた、少し微笑みます。
"ええ、そうよ。"
夕陽で照らされたポッカリーネの横顔はとても美しく思えました。居場所なんてものはなくたっていい、ただ僕がこうやってたまにポッカリーネの横で夕陽を眺められるのならばそここそが僕の席だとハルホスは強く感じました。
"私、小さい頃たくさん虐められたの。"
"…そうだったんだ。"
"その時はそんな奴らはみんな消えてしまえばいいって思ってたわ。だけど、そいつらのおかげで私は強くなれた。
そいつらと仲良くしたいわけじゃないけれど、多分そいつらにもそいつらの事情があったんじゃないかって今は思うの。"
"ポッカリーネは、優しいね。僕だったら、ひどく憎んでいたと思う。"
ハルホスはポッカリーネの小さい頃を知りません。
辛いことが彼女を強くさせたのだと、否強くなければ生きていけなかったのかもしれないと思いました。
"さようなら、ハルホス"
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