愛するということ

"人を愛するって、どういうことだろう?"

"その人の為なら、死ねるということよ。"

"…僕は誰かの為には死ねそうにない。人を愛するにはまず自分を愛さなければならないってルシュファンが言っていたよ。"

"そうね、ゴミ箱にゴミを捨てるように、自分を粗末に扱っている人は誰からも粗末に扱われるようになるものだわ。自分に余裕がなきゃ、他人を愛すことなんて出来ない。"

"けどそれは、エゴなんじゃないかな。"

ハルホスは訝ります。

"そうよ、所詮、エゴよ。"

ポッカリーネはあっさりと認めました。

"所詮、エゴなのよ。そんなもの。だけれども、見返りを求めない、依存や執着と違う本当の愛というものは、その人が本当に望むことを惜しまずに出来ることをさすのよ。高尚な愛ってやつね。まあ最も、高尚なんて本人は思わないのでしょうけれど。そんなふうに誰かを愛することの出来る人は。"

ポッカリーネのいう、高尚な愛についてハルホスは考えました。

自分には歪んだ愛でさえ生み出せるか分からないと思いました。

愛に正解が無いことくらい、幼いハルホスにも分かっている事でしたが、正解が無いからこそ難しいんだと少し大人になったハルホスは感じるようになりました。

"ポッカリーネは、誰かを愛することが出来るの?"

"私はたくさんの人から愛をもらった。私は人を愛せるわ"

強く優しく笑うポッカリーネは、とてつもなくかっこよく見えました。

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