見回り回避訓練

 修学旅行の夜にとって、先生の見回りほど邪魔なものはない。


 しかし、ちゃんと夜は遊ばないといけないという義務がある。


 俺らはこの両方を確立すべく、ある一つの方法を編み出した。


 先生の見回りを回避する訓練だ。


 訓練内容は先生役の奴が玄関に出て行き、残りの奴らはトランプで遊び、先生役がふすまを開けた瞬間に布団に伏せるという反射神経を鍛えるものだった。


 最初はドタバタ音がなったり、明らかに不自然な体勢のやつがいたりしたが訓練を積むにつれてどんどん上手くなっていった。


 もう完璧と思ったが最終確認として先生役のやつが玄関に出て行った。


 すると先生役の奴は出て行った瞬間に部屋に入ってきた。


 あまりの先生役の早さにみんな反応できなかった。


 なるほど。上手いな。先生役も上達していたのだ。


 不意打ちとは一本取られた。





 そう思って感心した目線の先にいたのは本物の先生だった。

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