ようは、あれだよな?
雪うさる
第1話
ようは、あれだよな?神様、俺のこと嫌いだろ?
………え?
冒頭なのに、なんでそんなこと言うのかだって?
聞きたいか?
どうやら、世界は衰退しかかってるらしい。
それだけなら良いんだ。俺の人生を満喫するだけだから。
世界が終わる日まで、なにしようかって考えるだけだが、なにが嬉しくて…
神様、俺のこと嫌いだろ。ぜったい。
**********
「天気いいなぁ」
「そうだね、日向ぼっこなんて素敵だねぇ」
雲一つない青空の下、緑が生茂る丘の上に男の子が2人目を細めながら気持ちよさそうに寝転んでいた。太陽は2人を照らし、心地良さそうな暖かさを与えていた。
「でもいいの?学校さぼってこんなことしてて」
「いいんだよ、俺の人生だ、俺が決める」
ふわあ…と大きな欠伸を1つしてからまた太陽の暖かさを感じる。
「…僕はいいけどさ、…知らないよ、怒られても」
「…」
その言葉に怒られてる自分を想像しうんざりしてしまう。嫌なこと考えてしまった。と思うと戻れないわけで、その矛先は隣へと向けられた。
「うっせ、いいから寝てろよ」
「はいはい」
どうやらその性格を知ってか、言われ慣れてるだろう彼は呆れてしまう。しかし、起き上がると真面目なトーンで話し始める
「でも、そんなことも言ってられなくなるんじゃない?もうサボってるのはバレてるし、そろそろ見つかる頃だと思うよ」
そう言った時だった。
「お兄ぃ〜!」
遠くの方から手を振りながら走ってくる女の子がいた。兄にむけて手を振っているのだろう。
「…逃げるか」
「ほら、そんなこと言わない」
逃げようとした兄は、隣にいた男の子に腕を掴まれる。
「ちょ、おまえ、裏切ったな!?」
「裏切ってません、僕は元々リナちゃんの味方です」
「お兄ぃ!!」
あー。終わった。短い休息だった。
**********
場所は移動し、村の学校。子供は少人数しかいない為小中高が一緒になっている。大きくも新しくもない建物で、学び舎と言った方が近いかもしれない。そこで、先程のリナと呼ばれた女の子と、その兄と男の子は職員室に呼ばれていた。リナと男の子の間に兄がいて、ガッチリ腕を掴まれ逃げられないようになっていた。
「リナ、アスランご苦労だったな」
「いえ、リナのおかげですよ先生」
どうやら、男の子の名前はアスランと言うようだ、両脇にいる2人に笑顔を向けた先生は真ん中にいる兄を見るとため息をついた。
「なぁ、そろそろ自分の立場をわかってくれないか?ナギ」
「嫌です」
再度ため息をつく。ナギと呼ばれた男の子とリナは、兄妹だ。
リナは村一番の美少女なのだ。100人いても全員が振り向くようなオーラがある。それに比べ、兄のナギは、背は高くスタイルが良く、目は切れ長だがそれだけ。リナと比べればごく普通と思われるような容姿をしている。
「真面目な話、悠長なことも言ってられないんだ。ナギよ。そろそろ覚悟を決めて出発してくれないか」
出発…。その言葉に胸がドクンとした。
「お前が最後の希望なのだ。他の
最後の希望。
「ナギ…。今までは他の
「…お前にそんな負担はかけさせられねぇよ」
——この世界は、精霊のご加護によって成り立っている。はずなのに、どういう理由か、少しずつ世界が壊れ始めている。大規模な地震、津波、台風、噴火等が起こっている。今住んでいる村までは影響はないのが実感が湧かない原因だろうか、少しずつ少しずつと世界は侵食され始めている。そこで信託がおり、
その
「だけど、リナがいて、アスランがいて、先生がいて、みんながいて。今はまだこのままがいい」
今はまだ、とナギはいう。命を落とす危険な旅なのだ。心の準備が必要なのだろう。
だが周りの人達は未来が不安で早く世界を救いに行けと言う。世界を救ってほしいとナギに懇願する人だっているのだ。
「でも、ナギ。いつかはここだって」
と先生が言いかけたその時。割ってリナがナギの前に立つ。そして、明るく笑い、こう言った。
「お兄ぃ。私も行くから行こう?」
「わかった」
「「えぇぇぇぇぇぇ!??」」
というわけで、世界の旅に出発することになった、ナギ、リナ、アスラン。
ようは、あれだろ?
行けばいいんだろ?行けば。
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