集計結果を見せていく
本企画中最もその意味が問われるイベント、集計結果報告のお時間がやってまいりました。
これはですね、文字の総計情報から筆致スタイルなどを読み取ろうという、一見無駄に見えるけれども新しい発見があるかも知れないということを、企画主の私が趣味で語っていくコーナーでもあります。
では早速。
■集計結果を見てみる
・応募作品数
75作品
・参加作者数
51名
今回は51名の作者様にご参加頂き、作品応募数は75作品でした。75作品という数が一つの自主企画で実施されると、一体どの程度の事象が発生するかを出してみたいと思います。
何れも6/1時点のものです。
①総文字数(全作品合計
917,888文字
②総執筆話数
423話
③総☆獲得数
3726個
さて、まず①についてですが、私がこの企画を立ち上げたことによって、「執筆作品内の文字に限定」しても、92万文字程度の執筆が行われました。凄い文字数ですね。ライトノベルの文庫本がだいたい10万文字ですから、9冊分もの量が執筆されたことになります。
仮にもしこれが単一作品で連続刊行されたものだとします。9巻まで出せる作品ということはそれなりに部数がでたことになりますから、ここに来るまでに恐らく100万部を突破しているでしょう。文庫本の単価と印税率をざっくり計算した所でいうと、7,500万円以上の印税収入を得ていることになります。凄いです。
ちなみにこの作業量がどれほどのものなのかという話なのですが、仮にもし一時間で1,000文字執筆できるとすれば、920時間の執筆時間ということになりますね。だいたい5週間半です。月の勤務時間は168時間というのが通例ですから、支給特別休暇なども含めれば、半年間、常勤の人を雇い入れるだけの時間的インパクトがある訳です。金額に置き換えますと、時間給を1,000円にしたとすると、92万円分。常勤対応で半年間勤務時の給料が92万円なんてあり得ないので、まぁ安く見積もっても大体150万円分くらいの出費をすれば、これだけの執筆量を誇る人を雇い入れることができる、という感じでしょうか。全く意味の無い計算です。
しかし、私にとっては重要なのです。私が企画を立ち上げたからこそ、皆様は執筆して下さったのです。コメントや拝読の時間もあったでしょう。それだけの時間的消費を生み出したということを、企画主である私は理解しておく必要があるのです。
そして②の執筆話数です。話数が増えるという事はそれだけ専用ページのURLが払い出されるということです。作品のトップページも含めると、作品総数+総執筆話数である498ページものユニークなURLが払い出されたことになりますね。しかしカクヨムユーザーの数とシステムのスケールを考えると大した量ではないでしょう。一日の平均払い出し数よりももしかしたら少ないかも知れません。
③は初の3000台突破です。凄い! それだけ皆様が読み合い、評価しあい、それがトップに上がる率を高め、多くの読み専門の方々の目に触れたというのも大きいでしょう。
■平均分解していく
①平均文字数/1作品あたり
12,238文字
②平均エピソード数/1作品あたり
5.64話
③平均文字数/1エピソードあたり
2170文字
④平均獲得☆数
49.7個
まず①の平均文字数が驚きです。とても多いですね!
初回の【明日の黒板】では4,600文字ちょっとであり、続いて【海が太陽のきらり】では厳密な集計こそ行っていないものの、10,000文字は超えていないはずです。明日の黒板と比べて実に2.5倍もの文字数となっています。
今回、【海が太陽のきらり】と比較して行動要件は少なめでした。キャラクターを動かしたりシーン展開するための描写が削減できていたはずにも関わらずです。
恐らくここは、「葉太が何を伝えるか」という部分について、皆様が真摯に取り組まれたからだと思われます。それだけ精神的な部分に掘り下げを行ったために、キャラクターやその過去に関する描写が増え、文字数を稼ぐに至ったのだと思います。
実際、明日の黒板では1000文字を切る超短編なんてものも登場しましたが、今回はそこまでに至りませんでした。
しかし反対に、30,000字に迫る、または超える作品も出てきており、一つのプロットを丁寧に彫り込んだ結果、重厚な読み応えの短編が登場しているのも事実です。
カクヨムはWEB小説という媒体な事もあり、一般的には、連載物のほうが☆を稼ぎやすく、一方で短編では短い程☆が獲得しやすいという傾向があります。この点でいうと文字数が増えるという事はそれだけ☆獲得という面においては不利ということになります。
しかし、今回の☆獲得数は④の通り、49.7個。【明日の黒板】が27.43だったので、これも凄い増加量です。
もちろん初回とは参加人数が異なり、仮にもし参加されている方々が相互に☆を入れあったとすれば、たしかに☆の獲得数は自然に増えていきます。
【明日の黒板】では作品数が44でした。参加人数は1.7倍、☆の数の差は1.8倍でしたから、上記仮説が成り立った上で誤差とするか、その要素もあるけどいやいや良作が多かったよ、と取るかという点ですね。
そして私として興味深いのは③です。
1エピソードあたりの文字数は、作品の読みやすさに影響します。これについては概ねの通例というか理想が示されていて、「1エピソードあたり2000~2500文字あたりが適切」と言われています。起承転結を盛り込みやすく、一般的に片手間で読み込むにあたって集中力を維持するのにちょうど良い量だと考えられているからです。
これがドンピシャにハマっている所が面白いです。確かこれは【海が太陽のきらり】でも出した記憶があるのですが、そちらもその範囲内に収まっていました。
作品執筆するにあたって、なかなか文字数を意識するのは難しいと思われます。
ですがもしかしたら有効かも知れない、文字数から入る筆致調整、というのも面白いかも知れませんね。
■多かったジャンル
今回はダントツに「現代ドラマ」が多かったです。
現代ドラマ:38
恋愛:12
現代ファンタジー:8
ホラー:4
SF:4
以下略
そもそも登場人物が「先生」と「生徒」という設定だったため、リアルな内容が多くなったのだと思います。教官と部下という関係もいくつか見られましたね。
■☆獲得数100超え作品の数
今回はなんと8つもの作品が☆100個を超えておりました。
おめでとうございます!!!!
私個人的には☆三桁は未到達なので、その凄さに素直に感嘆いたします。
そのどれもが素晴らしい内容だったと思います。企画に関わらずに良い作品が描けるということはそれだけ実力をお持ちだということだと思います。
実際にこの上位にいらっしゃる方々の多くは、カクヨム内コンテストの何れかの選考を一度でもパスしていたり、受賞歴のある方々ばかりですね。
ではこの方々の作品はいったい何が良かったのでしょうか。
これは分析し甲斐があると思いませんか?
同じ題材に取り組んでいるにも関わらず、☆の数に差がある。確かに☆は状況や作者様の交流によって大きく左右される要素ではありますが、それでも同じ条件下で挑んでいるのにも関わらず差が開くのです。
作家として、どうせ書くなら☆を沢山もらいたいものですよね。
であれば、なぜこの作品群が☆を貰えるのか、なぜ心に響くのか。それらを分析して取り込み、学ぶことができれば、その作家様は次なるステージが待っています。
もちろん作品を執筆する上で☆は全てではありません。また世の中には☆の数と必ずしも内容があっていない作品ももしかしたら存在するかも知れません。
しかし☆が獲得できるということはそれだけ多くの読者に支持されたということです。☆が需要を表しているなら、それだけ多く☆を獲得する作品は「売れるかも知れない」ということであり、出版可能性も高くなるということですね。
とはいえ、そんなことばかり考えて執筆するのはまさに苦行です。
あくまでも一つの考え方として受け止めて頂ければと存じます。
■総計の意味
正直、あまりここで上げた意味は大きくありません。
企画の段階から申し上げている通り、私はこの企画において「一番」を決めたり、「これが正解」を決めるつもりは全くありません。
しかし参加いただいている多くの作家様が「成長したい」と考えているはずです。
今回の集計は、おおよそ個人で活動している分には着目することはないだろう数字の集まりです。もしかしたら、ご参加の皆様にとって有益な情報が含まれているかも知れない、という程度の情報ではあります。
今回は数字的な部分だけをお届けいたしました。
このエピソードを見て、少しでも「へー」と感じて頂けたなら、
それでは、また。
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