嘘とホントと時々ルリ色

ぬっこ氏

第1章 第1話

その日は生憎の空模様だった


空からは大粒の雨が降り注ぐ


そんな中を俺たちは雨に濡れぬようにマントを被りながら舗装されていない道を進んでいた



「ふんふん、ふんふふんふん♪」


「…ルリ」


「ん?なにリオ?」


「…楽しそうだな?」




そう俺が問えば、前を歩いていた幼女…ルリは明るく答える




「だって雨好きなんだもん!」


「ほう?」


「あのねあのね!雨がふるとあっちこっちで面白い音がするんだよ!あの葉っぱとかー、この着てるマントとか!どれも違う音がするの!それが楽しいんだー!」


嬉しそうに言う彼女に俺は少し頬が緩む


(そういえば、最近雨が降ることはなかったな)


彼女はもしかしたら退屈していたのかもとも思いながら俺は先を行くルリの後を追った


するとピタッとルリが足を止める

視線は真っ直ぐ向いたままだ

ふと、その視線の先を見れば遠くに薄らと見える様々な色の灯りが見えた

どうやら街らしき場所を見つけたようだ


「リオ、リオ!あれ街かなぁ?」


「さぁな。だが、街だとしたら雨宿りが出来る場所があるかもしれないな」


「ご飯も食べれる?」


「たぶんな」


やったー!!と喜ぶルリに落ち着けと頭を撫でる

最近はほとんど野宿だったから有難い

一晩でも泊まれる宿があれば、濡れたマントも乾かす事もできそうだ


「リオ!早く行こっ!!」


「こら、あんまり急かすな」


俺の腕を掴み走り出したルリに、俺は腕を引かれるまま街へと足を向けた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

嘘とホントと時々ルリ色 ぬっこ氏 @araane1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ