第2話 誰だ

 カナダに1年間留学していた柴田くんは、先日久しぶりに帰国し、実家に帰省した。


 ひさしぶりの自室は、何だかカビくさいような気がした。荷物を床に置き、一息つく。


 と、ふと違和感に気づいた。


 ベッドの上にかけられたタオルケットが、妙に膨らんでいる。さては家族の誰かがベッドを物置にしていたな、とムッとした柴田くんは、タオルケットを勢いよく剥ぎ取った。


 まったく知らない女性が寝ていた。


 呆気にとられている柴田くんの目の前で、女性ががばっと起き上がった。


「誰!?」


 甲高い声でそう叫ぶと、かき消すように消えてしまった。


「お前こそ誰だよ……」


 とは思ったものの、美人だったのでまた出てこないかな、と思っているそうだ。

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