第276話 修学旅行

時間というのは思っているよりも早く進むもので、楽しみで仕方なくって早く来てほしい時間も、その反対に嫌な事で出来れば来て欲しくない時間だって日々を過ごしているうちにあっという間にやってきます。


「ポッ○ーいるー?」


「いるいる!じゃあ私もこっちの──」


大半の人にとっては今日からの3日間は楽しみで仕方がなかった、高校生活においての最大の行事です。


しかし私、星宮咲美子にとっては……


「よーしお前ら、そろそろ着くぞ〜

だからって言って、ハメ外しすぎんなよー」


「…………」


最低最悪。もはやなんの為に来たのかすら分からないような行事でした。


京都に向かうこのバスの1番後ろの5人席で、1人すわって窓を眺める私の目に映るのは窓に反射して見えるこの空間で完全に空気と化した女の子。


ちょうど寂しかったところだし、窓に映ったこの子とお話でも……ど、どうしたの!?急に泣き出して私何かしたかな──って、私も何故か涙が!?


そうして時間を潰しているうちに、バスは目的地にゴール。


ここからは班行動だし、多少寂しさは紛れるかな?

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