第226話 白組の精鋭達

俺は今、目の前で衝撃の光景を目にしていた。


「どうしますか、大将!」


「ま、まだだ!ギリギリまで様子を……」


『ぐぁぁぁ……… 』


次から次へと崩れ落ちる味方の騎馬。


一体何が起こっているのかと、最後列から様子見していると……


「大将!!!」


「どうだった!?弥助やすけ!」


戻ってきたのは、野球部の部活でもよく俺に付き合ってくれる2年生の後輩だ。


そんな後輩は、1度息を整えた後で予想だにしない事を口にした。


「敵は1人!しかも、なよなよとしていて、見た目は女子の様でした!」


「1人!?それに、女子みたいだと!?」


ありえない。

我らが白組の精鋭達が、たった1人にこれだけの数やられるなど、どう考えてもありえない──


「あのっ、ちょっといいですか……?」


目の前に現れたのは、俺と頭1つ分くらいも違う女子のような見た目をした男だった。


見ればこの男、頬は上気していて呼吸も荒い。


──弥助が言っていたのは、こいつの事か……?


「赤組が、何の用だ?」


本来ならハチマキを速攻で取ってやるのだが、俺はなんとなく興味が湧いた為、こいつと話をしてみる事にした。

見た限りもう限界なようだし、不意打ちでも対処出来るはずだ。


しかし、この男は……


「僕のハチマキを、とって貰えませんか……?」


そんなことを、俺にギリキリ聞こえるくらいの声で呟いた。


「僕、もう限界なんですっ……

お願いですっ……」


はぁ……残念だ………


白組の精鋭を壊滅させた男が自ら負ける道を選ぶとは……。期待した俺がバカだったな。


「分かった」


俺はそう一言だけ答えて、俺を支える3人に指示をして目の前まで移動する。


「いいんだな?」


「はいっ……。大丈夫ですから早くっ」


な、なんか妙に色っぽくないかこいつ……?

ほんとに男か……?


「それじゃあ行くぞ……」


「はいっ……

その……できれば優しく、してくださいね?」


「なっ──!?」


上目遣いに、若干うるうるとした目でそんな事を言う男に俺は……


ドタン……


「か、可愛すぎる……」


隣をみれば、弥助が俺と同じ状態で地面に倒れていた。


「大将……。あの子は、やばすぎます……」


「あぁ……

俺じゃ、敵わなかった……」



『試合終了〜!赤組の勝利です!!』

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