第159話 早く帰りたい
ガタン!
月曜日の放課後。
教室の扉が乱暴に開かれ大きな音が響きます。
教室にはまだ何人かの生徒が残っていて、そんな女の子の登場にビクッと方を震わせます
「ど、どうしたんですか折木さん?」
教室に入ってきた女の子──折木衣梨さんは真っ先に私の方に向かってきて……
──私の前を通り過ぎると、机でぐたーっとしている葉幸くんの前で止まります。
「ねぇ、あんた起きてるんでしょ?
私、あんたに話あるんだけど」
なんというか、とても威圧的な雰囲気です。
そんな折木さんに対して葉幸くんは気怠げに顔を上げると、ため息をついたあと机の横に置いてあったカバンを手に取って……
「心夏、マーさん。美雪さん遅いし迎えに行こうよ。
僕もう眠くて眠くて早く帰りたいんだよね……」
「え、でも……」
すると折木さんは、露骨にイラついている事のわかる声色でもう一度葉幸くんに対して話しかけます。
「だから、あんたに話があ──」
「貴方のこと、僕は知らないですけど、凡そ初対面の人にとるような態度じゃないですよ?
あなたみたいな人と話しても、もっと眠くなってしまうので帰らせて貰えませんか?」
そう言って、葉幸くんは先に教室を出ていってしまいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます