第154話 7つ

一限の国語のテストが終わった時、先生の周りにはたくさんの生徒が集まっていました。


『あの問題なんなんですか!』


『ふざけてたとか、ですか?』


『さすがにびっくりしましたよ〜』


みんなが言っているのは、国語の問題に出てきた問題文でした。


「いや〜悪い悪い!ちょっと悪ふざけでな〜。

問題にするの面白そうだなぁ〜と思って!」


そう、問題文の※にはこう書かれていました。


「※尚、この問題文は国語の担当教師、吉水による自作の小説である。文章中に適切でない表現を見つけたものは解答欄裏の指摘欄にて指摘するように。

1つにつき追加で1点を与える」


というものだったのですが……


『指摘っていくつでしたか!?』


『僕は4つ!』


『え!?私2つだったんだけど!』


『いやいや!5つあったって!』


と言った感じで、国語の先生なのにあまりにも間違った部分が多かったのです。ちなみに私は7個みつけました。


「まぁ、2年に入ったばかりの期末テストだしな!

お前らに点を取らせてやろうという先生の粋なはからいだ!」


なんて先生は言っていますが、

実際のところどうなのか……


「マーちゃんはいくつ見つかりましたか?」


「5つかな?葉幸は?」


「僕は9個だけど……」


9個!?そんなになかったとは思いますけど……


「私は7つだと思いましたけど、ほんとに9こもありましたか?」


すると、葉幸くんはテスト用紙を取り出して


「こことか、こことか、あとは……」


葉幸くん、見事に私の気づかなかった残り2つまで教えてくれました。


(葉幸くん、凄いですね……)


今回のテストは、前のように勝負なんかをしているわけではありませんが、何となく葉幸くんに勝ちたいなと思ってしまいます。


(次のテストも頑張らないとですね!)



ちなみに、先生自作の小説はとても面白かったです。

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