第152話 勝ち負け
──11ターン目・ひよりのターン
「もうっ我慢の限界!このカードを使う!」
私はさっきのターンでゲットした『スタートをゴール、ゴールをスタートにする』のカードを使った。
これによってゴールまでの距離は
ひより:12マス
葉幸&心夏:64マス
葉柚:71マス
となった。
さっきのターンの心夏の行動によって、さちと宝田心夏のコマが2つで1つ分になって所持金もふたり合わせた25億円、さらに私とは強制的に離婚にさせられてしまった。
(この状況を終わらせるには、もう私がゴールして終わらせるしかない!)
このターンは私が王様。今回の私のカードは進めるマスが2倍になるものだから6以上を出せばこのまま私の勝ちになる。
「これで私の勝ち──」
「まった!」
さちはこの時を待っていたと言わんばかりに声を上げた。
(よく考えたら、このカードが回ってきたのはさちのターンの時だったし……)
さちは私がこのカードを使うのを待っていたと考えればさちのこの勝ちを確信した目にも説明がつく。
さちが私に続けて出したカードは……
「入れ替え!?」
「もちろん入れ替えるのは、ひよりさんと僕だよ」
無常にも、場所を交換されゴールからは遠い位置に置かれた私のコマを見ると、なんとも言えない気持ちになる。
さらにさちと宝田心夏のコマはゴール目の前だ。
──でも……
(本来の目的のゲームを終わらせることに支障が出たわけじゃない!)
ゲームに負けて、勝負に勝つとはまさにこの事。
このゲーム、実質私の勝ち──
「まった!」
そんな時、さちに続けて宝田心夏までもがカードを使う宣言を行った。
使うカードは……
「この『任意のプレイヤーをスタートに戻す』のカードで葉幸くんをスタートに戻します!」
「「「は!?」」」
この場の宝田心夏以外の全員が心夏の方を見る。
当たり前の事だけど、さちをスタートに戻せば宝田心夏もスタートに戻ることになる。
そんな宝田心夏はと言うと……
「葉幸くん!こんなことで終わってしまってはつまらないですし、もっと楽しみましょうね!」
(負けた……)
ゲームにも負け、勝負にも負けてしまった。
結局、ゲームはこのあと3時間ほどかかった末に宝田心夏とさちの勝利で幕を閉じた。
(宝田心夏……!
絶対今度リベンジしてやる!!!)
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