第140話 狭い
「さて、お布団は1つに住人は3人です。
葉幸くんはベットで確定として、お布団に2人はさすがに狭いですよね?」
「確かにそうね」
さちがお風呂に入っている間に済ませておきたい話があると言われて部屋で2人になると宝田心夏はそんなことを言い始めた。
言っていることはよく分かる。昨日は結局、さちが一人ベットで寝て私たちは布団を敷いて寝たものの狭いし暑いしで全く寝られなかった。
「でも、どうするの?布団1つしかないんでしょ?」
問題はここだ。どうやったって2人以上は同じ布団に入らなければならないのだ。
「簡単なことです。ベットならある程度の広さがあるんですから、2人で寝ることはできますよね?」
「…!?まさかあんた……」
もしかすると、宝田心夏はもう既にさちとそういう約束を取り付けているのかもしれない。
(私も何かしないと、このままじゃ……)
昨日からの様子を見る限り、さちは宝田心夏を意識しはじめているように感じた。
それはひとえに、彼女のこうした積極的が生みだした成果なのだろう。
「安心してください、まだ葉幸くんには何も話していませんよ?」
「は?じゃあなんで先に話したわけ?」
そんなことをする必要はどう考えたってない。
言わなければ一人勝ちだったのに宝田心夏はなぜ…?
「春休みの時の借りを返しただけです。
気にしないでください」
春休みの借り……?
もしかすると、厨房を見学しに来た時に少しアドバイスみたいな事をした時のことだろうか?
「それでは、1日交代で葉幸くんのベットで寝るという事でどうでしょうか?最初の今日はジャンケンと言うことで」
「分かった」
ここはなんとしてでも勝ちたいところ。
具体的に何日泊まるとは決めてないものの、泊まる日数が奇数日だった場合には相手より1日多くさちと寝ることができるのだ。
──たかが1日、されど1日……
「それじゃあいきますよ?」
「「じゃんけん──」」
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