第108話 簪さんのとある日の平日①
平日の朝。それは私にとって、休日までの消化試合のようなものでとても退屈で仕方がない。
「何ぼさっとしてんだ?
早くしないと遅刻するぞ?」
「うん……」
今のは私の3つ上の姉貴だ。
大学生の姉貴はモテる。圧倒的なまでのスタイルは言うまでもなく、穢れを知らない真っ白な肌、文句のつけようもない美しい顔立ちは総じて「女神」の領域といっても過言ではない。
普段は家にいることはなく、寮で生活しているのだがこうしてたまに帰ってくることがある。
(私も姉貴みたいに綺麗だったら、さちは──)
「だからぼっさとしてんなってのー」
「あ、ごめん」
「まったく……
ひーが朝ごはん作るんだからねー?」
「んー」
私ベットからでて、リビングに移動してから朝ごはんの準備をはじめる。
姉貴は唯一の欠点と言うべきか、料理が全くできないのだ。
(とりあえず目玉焼きとパン出しとけばいいかな……)
「やっぱりひーのご飯は美味しいね〜」
「ただの目玉焼き。姉貴でもできるって」
「それ本気でいってる?」
「本気」
しかし、目玉焼き作りに失敗する姉貴の姿というのは簡単に想像出来てしまう。
「今度やってみようかな……」と言っているのも聞こえてきたがそれはスルー。
「じゃあ私行くから、部屋汚くしないでね」
「わかってるー」
昨日聞いていた話だと姉貴は昼からの講義だったはずだから、それまでは家にいるはずだ。
私は前に1度姉貴の寮に行った時の、部屋の惨劇を思い出さないようにしながら家を出た。
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