第106話 気になって

「──って事があったみたいでね?」


「えっと、つまり秘密で練習していたのに、1番秘密にしておきかった人に見られてしまった、というわけですか……?」


「ま、まぁそういうことになるんじゃない…?」


どどどどどうしましょう!?

会話とかも聞かれちゃってるんでしょうか!?

それって結構やばいですいろいろ踏み込んだ話とかも美雪ちゃんとしちゃった覚えありますし!


「あの、私の練習してるところをみて葉幸くんは何か言っていましたか……?」


「なになに〜?気になるの?」


すると、私の不安を察知した葉柚さんは最近ではよく見るようになったイタズラっ子な顔で私を煽るように言います。


「い、いいじゃないですかっ!このままじゃ気になって夜も眠れそうにありませんよ!」


それに、明日どんな顔して葉幸くんに会えばいいのかも分からなくなってしまいますし……


「ふ〜ん?そんなにさちくんのこと、考えてくれてるんだ?」


「そ、そういう訳じゃ……」


「隠さなくてもいーの!

お姉ちゃんはお見通しなのですからねっ」


得意げな葉柚さんを見て我に返った私はまた葉柚さんにしてやられたことに気づきました。


最近はこうしたやりとりが葉柚さんとはよく行われていて、なんだかいつも手のひらの上で転がされて遊ばれているような感じがします。


──でも、私は反撃するすべをもっているのです。


その術とは……


「さすが、は弟の事繋がりならなんでも分かっちゃうんですね?」


「にゃ!?

ブラコンっていうの禁止って前に言ったのにぃ!」


「葉柚さんが悪いんです」


「こうなったら決着をここで──」


「サボってないで片付けをしなさい!」


今まさに、大きな争いが始まろうという所で先生がやってきてしまいました。


「「すみません……」」


──どうやら今日は、ここまでみたいですね。


ちなみに、後から葉柚さんに教えて貰った話では、どうやら葉幸くんは4階の3年生のフロアから私たちを見ていたそうなので、聞かれていた可能性はないとの事でした。

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