第85話 GAME OVER

〘 GAME OVER 〙


「こんなの勝てないって……」


画面に表示された赤文字を見て私は絶望していた。

膝の上のさちは眠っている。


「もう7時かぁ……」


ラスボスと戦闘を初めてから6時間。

もう既に10回以上この赤文字を目にしていた。


──お腹空いたなぁ……


私はさちの頭を膝からクッションの上に移動させて立ち上がった。


「…ん……?寝てた……?」


「うん。6時間くらいかな?」


「えっと、何してたんでしたっけ…?

何かゲームをやっていた気が──」


「そ、そんなことより!お腹減ってない?夜ご飯にしようよ」


ゲームのことはどうやら忘れているみたいだし、このまま忘れたままでいさせてあげた方がさちのため。


(もうあのさちが見られないのは少し残念だけど……)


「確かに……。じゃあご飯の準備手伝いますよ」


しかし、冷蔵庫を開いて見てみると……


「あ……。そういえば今日買い物しに行く予定だったの忘れてた……」


今あるものじゃおかずはまともに作れそうにない。


「どうする…?外に食べていく?」


「今からスーパーに行って、ご飯を作っても遅くなりますし、そうしましょう」

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