第83話 言われていた通り

「い、いやそれはやめといた方がいいよ。

それヤバいやつだから、ほんとに……」


私が葉柚さんから預かったゲームをやろうとさちに持ちかけると、さちは嫌そうにした。


「うん、葉柚さんに聞いてる。昔葉柚さんとプレイした時にラスボスがものすごくキモくてトラウマになったんでしょ?」


「知ってるなら別のゲームで──」


「だから、せっかくだしここでそのトラウマを克服しない?昔やってた時からさちも成長してるんだしもう大丈夫なんじゃない?」


私はそう言いながらゲームディスクをゲーム機本体に入れて準備を進めていく。


「はい、コントローラー」


「はぁ……。

じゃあ1回だけ、頑張ってみるよ」



2時間後……


「よし!倒せた!」


「簪さんほんとにはじめて?上手すぎじゃない…?」


開始から2時間、ちょうどストーリーの中間地点くらいまでには来たけどさちの様子に変化は見られない。


(やっぱり怖いのはラスボスだけ……?)


確かに葉柚さんにはラスボスがトラウマになっているとは聞いていたけど、途中のステージでも少しは怖がって抱きついてきたりしてくれることを期待していた身としては少し残念だ。


(まぁでも、葉柚さんの話だとラスボスまでいけば涙目で抱きついて暫くくっついたまま離れないって聞いてるしそれまでの辛抱ね)


「ちょうどいいし少し休憩しよっか」


私たちは1度ゲームデータをセーブして、お昼ご飯を食べることにした

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