第53話 新クラス

ガラガラガラ……


「あ、宝田さん。おはよ〜」


「はい、おはようございます」


教室に入ると、何人かの知っている友達が手を振ってくれて歓迎してくれました。

私はその友達に手を振り返してから、黒板前に貼ってあるこのクラスの生徒の席の配置が書かれたの紙を見に行きます。


(私は……1番前の窓側から2番目ですか)


先生の話も聞こえやすくて黒板も見やすいのでとてもいい位置です。


「ココナッツ久しぶり〜」


「やっほ〜!」


「春休み以来だね〜」


自分の席に座ると1年生の頃も仲の良かった友達の3人が私のところにやってきました。


「はい、そうですね」


「ココナッツ春休み何してた〜?」


「私は……勉強とか遊んだりとか、ですかね」


春休みという単語を聞く度に、簪さんとのやり取りを思い出してなんだかもやもやした気持ちになります。


(このままじゃダメなことはわかってるんですけどね……)


「はぁ……」


「どしたのココナッツ?」


「あ、えっと。ちょっと考え事をしていました。ごめんなさい」


今までだったら悩みがあっても顔に出さないように出来ていたんですけどね……


周りに迷惑をかけたくない

自分のことで巻き込みたくない


だから私は今までだって悩みはなんでも1人で解決するように頑張ってきたんです。

今の悩みなんて今までのものと比べれば小さな事のはずなのに……


──って、ダメですね。

今はみんなの前です。切り替えないと!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る