第28話 背中の人
「会長、おはようございま──えぇ!?」
「おはよう書記ちゃん。
どうしたの?そんなに驚いた顔して」
「あぁいえ特には……」
「特にない」と言いつつも書記ちゃんと呼ばれる生徒会の書記さんは生徒会長の背中で眠っている浜辺くんをちらちらと見ています。
「あーそうそう、私今から1年生の教室に用事あるから朝の生徒会は行けそうにないかな。ごめんね?」
「え?そ、そうですか……
わかりました。伝えておきます」
「じゃあ私は行くね〜」
私も書記さんに会釈だけして生徒会長の横に並びます。
すれ違う生徒の皆さんはみんな生徒会長と一緒にいる私よりも背負われている浜辺くんが気になるようでちらちらとこちらの様子を伺っています。
「なんかいつもより騒がしいね?
なんかあったのかな?」
「さ、さぁ?なんなんでしょうね……」
「ってそんなことはどうでもよかったよね。さちくんと心夏ちゃんのクラスは1-cで間違いなかったよね?」
「はい、そうです」
私がそう答えると、生徒会長さんはそのまま私たちのクラスに入っていきます。
そうすると当然……
「せ、生徒会長!?おはようございます!」
「うん、おはよ〜」
「あ、あの…その背中の人は…?」
「?見てわかるでしょ?さちくんだよ?浜辺葉幸くん」
これはまずいかも知れません……
このクラスの人は、恐らくほとんどの人が浜辺くんの事を眠り姫と呼んでいて名前すら知らないはずです。
このままいけば……
「浜辺くん?誰ですかそれ?」
「え?クラスメイトだよね?」
「私たちのクラスに浜辺くんなんていなかったと思うんですけど……」
と、いうふうになって浜辺くんのクラスでの立ち位置が生徒会長に露呈してしまうことに……
それだけは防がなくては!
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