第29話 お姫様

「浜辺くん?誰で──」


私は「誰ですか?」と言おうとする友達の口を咄嗟に手で塞いで、小声で説明します。


「浜辺くんって言うのは眠り姫さんの事ですよ」


「なるほど……眠り姫の事だったんだ」


ちょっと!声が大き──


「へぇ〜?

さちくんってこのクラスじゃお姫様なんだ…」


なんとか想定していた事態は回避出来たみたいです!

なんだか余計な情報を生徒会長に与えてしまった気がしますが、気のせいですね!


「てことは、眠っている眠り姫──じゃなかった。浜辺くんを見つけてここまで生徒会長とココナッツが運んできたわけね?」


「ま、まぁそうだね。私は特に何もしてないけど」


ずっと生徒会長が背負っていましたからね……

そして、そんな話をしている間に生徒会長さんはクラスの他の人に浜辺くんの席の場所を聞き出して浜辺くんを席に座らせてこちらに戻ってきました。


浜辺くんは机でうつ伏せに寝ていて腕を枕替わりにしていますが顔は見えなくなってしまっています。


「さてと、じゃあ私は少し早いけど教室に戻るね。ばいばい心夏ちゃ〜ん」


生徒会長は教室から出る前に振り返って大きく私に手を振ります。


「は、はい。またお昼休みに」


なんだかこうして生徒会長を見ていると、小学生くらいの子を見ている気分になりますね……

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