第18話 男なんですか?
「どうしたのココナッツ?」
学校からの帰り道、私は美雪ちゃんと一緒に帰っていたのですがその途中でメモ帳がないことに気づきました。
(確か、最後に触ったのは引き出しに入れた時…でしたかね)
「ごめんなさい美雪ちゃん、私学校に忘れ物をしてしまったので取りに行ってきます。先に帰っていていいですよ」
「忘れ物?うん、分かった。じゃあまた明日、学校でね〜」
美雪ちゃんと別れ、早歩きで学校に戻るとグラウンドでは部活動に励む生徒達の掛け声が響いていて校舎では吹奏楽部の演奏が聞こえてきます。
階段を駆け上がって教室にたどりつき、引き出しの中を確認するとメモ帳はちゃんとそこにありました。
「良かったです……」
学年の男子全員の名前が書かれたメモ帳なんて他の人には理由があっても見せられませんからね。
ですが、メモ帳をポケットに入れて帰ろうとした時私の視界の隅に机でうつ伏せになっている人が移ります。
(あれは…眠り姫さん、でしょうか?)
近づいてみるとぐっすり寝ていて起きる気配は全くありません。
「あの、起きた方がいいと思いますよー?もうみんな帰ってしまっていますし…」
声をかけてみますが起きる気配がありません。
仕方ないので体を揺すってみることにします。
すると……
「ん〜…?なに?姉さん?」
顔を上げた眠り姫さんと目があいます。
──って、あれ?
「え?誰?」
眠り姫さんはきょとんとした顔で私を見ていますが私はそれどころではありません。
「あ、あの1つ聞いてもいいですか?」
「いいけど…何?」
「眠り姫さんって男なんですか?」
私は今まで、眠り姫さんとは顔を合わせたこともありませんでしたし、そのあだ名のせいで女の子だと思っていました。
にもかかわらず目の前にいる眠り姫さんは童顔でショートカットの女の子にも見えますが間違いなく男の子です。その理由は学ランを着用しているから、というもので見た目は女の子だといわれば信じてしまうほどのものですが……
「男だけど?」
眠り姫さんはさも当然というように私の質問に答えるのでした
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