「好きな人がいるので」と言って告白を断ってきた美少女は学校に告白してない男子が残り1人なことに気づく

はぴちゃんず

1章 美少女は苦労する

第1話 ごめんなさい

放課後の体育館裏。私、宝田心夏ほうだここなつは1人の男子が何を話すのかを静かにまっていました。冬休み明けの体育館裏は凍えるように寒く、一刻も早くこの場から去りたい気分です。


「俺と付き合ってください!」


そんな冬空の元で、目の前の男子生徒はその寒さを打ち消すような情熱的な告白の言葉を口にします。

確か、サッカー部のエースで冬休み前の定期テストでも学年上位に入っていた方だったと思います。

容姿もイケメンと呼ばれる部類の方で何故こんな人が私に告白してくれるのか疑問に思うほどです。

ですが──


「ごめんなさい」


ですが、私はそれに答えることができません。

──だって、彼に少しも興味を引かれないのですから


「友達からでもダメなんですか?」


「それも、ごめんなさい」


私は彼の好意を拒絶します。

だって、彼の言う「友達から」というのはお付き合いを視野に入れた友達付き合い、なのですから。

しかし、それでも彼は諦めません。


「僕の何がダメだったのかな…?」


「あなたがダメだったわけではないんです。ただ…私、好きな人がいるので。本当にごめんなさい」


これまで、告白されることは何度もありました。中学生に上がってから何度も何度も……


高校に上がってからも何度もありましたが、ほとんどの人は「ごめんなさい、貴方とは付き合えません」の一言で諦めて帰っていく人ばかりで、彼のように理由を聞いてくる人はいませんでした。


だから私は、この場から逃れるために「好きな人がいるので」と嘘をついてしまったのです。


それが後に、私を傷つけるとも知らずに……

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