俺の幼馴染みは最強の後ろ盾

未知可

第1話

唐突だが、俺にはとてもとても役にたつ幼馴染がいる。小学校の頃出会ってから今まで、気付けば隣にはコイツがいた。

坂本歩美さかもとあゆみ。明るい髪色のショートボブに端整な顔立ちの所謂美少女。容姿抜群、成績優秀、性格完璧、欠点が何一つ見当たらないような、まるで漫画のような存在。

歩美は俺が頼めば昔から何でもやってくれた。

それは今ももちろん変わらず、現在も彼女は居残りでデッサンの課題を仕上げる羽目になった俺に、嫌な顔一つせず付き添ってくれている。

まあ、頼んでも頼まなくても自主的に俺の後をついてくるようなやつだ。

だだっ広い閑散とした教室の中で、一人っきりで寂しく課題に取り組む俺を可哀想だと思ってくれてるんだろうな。

バイトがあるとかなんとか言ってた気がするが……そんなことはこれっぽっちも気にしている様子はなく、まじめに石膏像せっこうぞうとにらめっこしている俺の髪を、勝手にワックスを駆使してスタイリングしていた。


「できた。スーパーなんとか人」


「おまえ、人の髪でなにしてくれてんの?」


「暇だったからちょっといじってみた。ダメだった?カッコいいからよくない?」


「よくない。やるならもっとカッコイイ髪型にしろ。いかにもイケメンがやりそうなやつだ」


スーパーなんとか人のまま下校するのはかなりの勇気がいる。こんな髪型のまま表を歩けば確実に笑い者だろう。


「イケメン……イケメン……イケメンのする髪型ってどんなかな?こんな感じ……?」


さて、今のこの状況、誰かに目撃でもされたら果たしてどう思われるか。

一方は石膏像の絵を描き、一方はそいつの髪をいじくり回して遊んでいる。この光景を微笑ましいと思うかは君達の自由だ。



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