【エロ】クレヨン、消防署、リンボーダンス
テスト中、みんな一度くらいは考えたことがあると思う。
都合よく超能力が発動し、100点を取るという他愛もない妄想。
脳がインターネットと繋がったり、
美人家庭教師の霊を召喚して答えを教えてもらったり、
教室をジャックした悪の組織をなぎ倒し、みんなが驚いてる隙に優等生の答案と交換したり。
俺の場合は時間を停止し、その間にカンニングだ。
――だって、俺には本当に時間停止能力があるからだ。
気づいたのは幼稚園のとき。
女の子が泣いていた。男子にクレヨンを取られたからだ。
小さな声ですすり泣く女の子を見ていた俺は、急に胸の締め付けを感じ、尋常でない息苦しさに襲われた。
男子がクレヨンを窓から捨てたとき、自分の中で何かが弾けた。
気がつくと俺はクレヨンを手に持っていて、女の子に渡していた。
男子は身体をおさえてうずくまっていた。
数ヶ月後、俺は自分のしたことを理解した。
クレヨンをとりに行き、男子を殴ったこと、その間誰も動かなかったこと。
それが時間停止能力だと気づいたのは、そういう漫画を読んでからだった。
俺はテストが解けないとき、思い出してしまう。
あの能力のこと、クレヨンを渡してもなぜか泣き止まなかった女の子のこと。
あのとき以降、能力は発動していない。
一体なぜ女の子は泣き続けたのだろう。そんな疑問のままテストは終わった。
※
昼休み。
ぼうっとしたままの俺の意識は、けたたましいベル音に引き戻された。
ジリリリリッ! 暴力的な音が断続的に響く。
火災警報だ。
俺は急な騒音で驚き、胸の締め付けと息苦しさを感じた。
そして、気がつくと、写真のように全てが止まっていた。
――アレが来たのか?
幼稚園のとき以降、一度も使えなかった時間停止能力。
それが今、どうやら実現したらしい。
とりあえず火事をなんとかしよう。普通なら逃げるが、時間が止まった今なら消せるかもしれない。
急いで俺は火元を探す。消防署が必要になれば大惨事だ。
だが、校庭へ出た俺が見つけたのは、火元ではなく女子生徒だった。
ハードルをリンボーダンスでくぐる途中で、身体をU字に反らせた状態で止まっていた。
テストが終わって遊んでいたのだろう。楽しそうな表情をしている。
俺は、なぜかその光景に惹かれた。
柔らかく美しい曲線に、突き出された下半身。スカートの奥に潜む陰影。
その怪しげな輝きは、俺に邪な考えを起こした。
……まだ余裕はある。
どうせ時間は止まっているんだ。じっくり見た後に火を消しても遅くはない。
俺は女の子の元へと向かった。
間近で見る女の子の肉付きは、かなりのものだった。
力の入った状態のお尻に、柔らかくてハリのありそうな曲線。
……触ったらどうなるんだろう。
嗜虐心が芽生えた俺はしゃがみこみ、股の間に頭を滑らせる。スカートの中の秘密の場所が目の前に来た。
夢中で突き出した土手に指を這わせる。柔らかな下着に人差し指が沈み込んでいく。
俺はこの感触に覚えがあった。いつか、これと同じものを触った気がする。
時速60kmで手のひらを風に当てるとおっぱいと同じ感触がするという。それの股間バージョンだ。
一体どこで……。
答えを求めて下着をずらすと、直に秘所を蹂躙する。さっきよりも触った感覚が鮮明になる。
――そうか、この感覚!!
幼稚園のとき……能力を使ったときに味わった感触だ。
女の子の泣き顔を思い出す。
なんてこった。あの子が泣いていたのは、俺のせいだったのか。
俺があの子の体を、時間停止中に弄っていたんだ。
意識を現実に戻す。
この子も時間が動き出したら、泣いてしまうのだろうか。
時間が止まっているせいで女の子の反応はまるでない。薄桃色の粘膜から溢れる愛液だけでしか、女の子の想いを知るすべはなかった。
それはあのときの涙のように、ゆっくり、けれど確実に流れていく。
俺は涙を舌ですくい、淫肉へと捩じ込ませる。ねっとりとした感触が舌先に染み込み、唇をさらなる粘液で満たしていく。
そろそろ頃合いだろうか。
だが、淫裂に挿入した俺は、1秒も保たずに勢いよく射精してしまった。
重苦しい感覚も一緒に放たれ、憑き物が抜けたような開放感があった。
肉棒を抜いた俺は、徐々に冷静さをとりもどす。
そして唐突に、ある予感に襲われる。
――そろそろ時間が動き出すのではないか?
俺の胸の締め付けがトリガーだとしたら、それが解き放たれてしまうと動き出すのかもしれない。
俺は急いで女の子から離れると同時に、時間が動き出した。
女の子はリンボーダンスの途中で倒れ、何が起こったのか理解したのか、目に涙を浮かべた。
その表情は、俺に罪悪感を植え付けるには十分だった。
――あのときと同じだ。俺は、また能力のせいで女の子を泣かせてしまった。
どうしてこんな能力を持って生まれたんだろう。
人を悲しませる力なんて……なくていいのに。
※
次の日もテストだ。
俺は行き詰まり、また妄想する。時間停止の妄想だ。
ただ、今回は今までと違う。
時間を停止し、女子生徒を気持ちよくする妄想だ。
女の子を泣かせてしまったのは、能力のせいじゃない。知識不足だ。
テストだって知識がないと解けない、それと同じはずだ。
本で勉強したし、今度こそ泣かせない。絶対満足させてやる。
そう誓った。
いつもの妄想に出てくる女の子は、相変わらず泣いてるけど……。
あの感覚を待ってる。
胸を締め付けられる、あの感覚を。
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