第39話 最終決戦!!
<これまでのあらすじ>
ここは百合ノ島、百合しかいない島だよー!
島長の[燕佐(えんさ)]さんに教えて貰ったけど、動物も昆虫も植物もみーんな百合なんだって! まさに百合の楽園だよー。
そんな百合の楽園を支配しようとする“深紅の百合”と戦い、二勝二敗一分けのまま最終戦にもつれこんじゃった!
しかもその最終戦、“深紅の百合”トップの[クレちゃん]とわたしが戦うことになったのー!
と、島長の燕佐さんでも敵わないのに、わたしなんか瞬殺だよー!
でも! でもでもー! 愛する妹の[ちいゆ]が「ガンバだよ!」って言ってくれたの! だから勝たなきゃ!
♀+♀+♀+♀+♀+♀+♀+♀+♀+♀+♀+♀+♀+♀
「それでは勝負方法を決めまーす! それぞれ箱から紙を引いてくださーい」
そう言った司会の燕奈さんがこちらに来ると、地面に置かれた箱を持ち上げた。
「本当にすまないね、もみじちゃん。姉貴……島長の代わりに引いてくれるかな、私は司会者だから出来ないんだ」
燕佐さんを見た燕奈さんが箱を近づけてきた。
そ、そうだよー! 勝負方法によってはわたしにだって勝機はあるんだからねー。
えっと、そういえばこの箱に入ってる紙は“深紅の百合”の人たちが書いたんだよね。
あの人たち、パイたん以外変態っぽい勝負方法しか書いてこないから……すっごい嫌な感じしかしないけど、乳首当て勝負に絶頂勝負、そしてアヘ顔勝負、最悪なのは大体引かれたような気がするー。
そうであって欲しいと思いながら箱の穴に手を入れる。
うーん、結構紙残ってるなー、五番勝負なのに勝負方法の紙を十枚入れたのには、こういうパターンも想定済みだったんだー。
うーん……うーん…………うー?……(くわっ!)これだー!
何かビビっときた紙を引き抜いた。
クレちゃんを見たら既に引いた紙を手に苛ついた顔をしている。
「それでは両者紙を開いて上に持ち上げてくださいー」
畳まれた紙を広げ、そこに書かれた文字を目にした瞬間、頭の中が真っ白になった。
「おーっと、百合ノ島が引いた紙には“心からの絶頂”! そして深紅の百合が引いた紙には“真の告白をさせる”だー!」
甘かった! やっぱり深紅の百合はパイたん以外変態さんばかりだー! それにしても、クレちゃんの引いた“真の告白をさせる”って何?
「ちょっと! これはどういう意味ですの?」
ほらクレちゃんもさっそく得意の癇癪が爆発寸前だよー。
「えーっとですねー、これは……」
司会の燕奈さんも珍しく戸惑っている。
あ、横たわってる燕佐さんとこ行った。
「姉貴ー! これ書いたの姉貴でしょ、悪いんだけどこの勝負方法の意味おしえてー」
声が思い切りマイクに拾われてるんですけど。
「うう……こ、これは、対戦相手がそれぞれ愛する百合に……告白をさせる勝負です……あぁ!」
眼鏡が光で反射して表情がよく見えないけど、まだ恍惚が残ってるみたい。
「姉貴ー、それジャッジどうするんの?」
「うう……相手が心からの告白、つまり真の告白を判定してくれるのは……」
ぷるぷる震える手が持ち上がり、がくがくと指先が百合神社に向けられた。
「百合神様です……ふぐっ!」
「姉貴!」
再び横たわる燕佐さんの肩に手を掛けた燕奈さんだけど、諦めたように立ち上がった。
「えーっと、そういう訳でご理解頂けましたでしょうか?」
マイクを口に近づけてクレちゃんを見る。
「百合神の判定……ね」
腕を組んだクレちゃんがちらっと神社を見る。
「ふん、わかりましたわ」
わたしとパイたんの勝負で割り箸が目の前で割れたのを思い出したのか、鼻を鳴らして横を向いた。
「ではどちらの勝負方法がいいか、投票しまーっす!」
そこへまたもや巨大スクリーンの百合組織トップたちが「どちらも採用しなさい!」と口を挟んできた。
「えー、審議の結果“心からの絶頂と真の告白をさせる”勝負に決定! となりましたー」
はうぅーー! “真の告白”勝負でよかったのにーーー! 深紅の百合も百合組織の偉い人たちも、なんでそんなにえっちぃなのー!?
「では双方、“心からの絶頂と真の告白をさせる”パートナーを速やかに呼んでくださーい」
わたしのパートナーといったら愛するちいゆしかいないよー!
「ちいゆー!」
手を振ったら恥ずかしそうにこちらへ駆けて来た。
「ちいゆ、ごめんね。こんな勝負に付き合わさせて……」
「ううん、お姉ちゃんがあたしを選んでくれてとっても嬉しいの! それに島の未来がかかってるんだもん、恥ずかしいなんて言ってられないよ~!」
ふんすっ、と鼻息を吐き出すちいゆがたまらなく愛しい!
「え? お、お姉ちゃん」
思わず抱きしめてしまう。
「島の未来もだけど、わたし達の未来の為に絶対勝とうね」
「うん……」
そこへクレちゃんのきつい声が響いてきた。
「ドレちゃん! わかってるわね。いつも通りわたくしの愛撫を受け、いつも通り『愛しています』と言いなさい。それでこの勝負は決まりますわ」
「はい……クレちゃん」
相変わらず自信満々のクレちゃん、対照的にどこか寂し気な顔のドレちゃん。
そういえばドレちゃんは心を読めるんだった。
クレちゃんの心を読んであんな顔してるのかな……。
「では“心からの絶頂と真の告白をさせる”勝負、始めまーす!」
わわ! 始まるー! ぜ、絶頂させて告白なの? 告白させて絶頂なの? どっちー? つ、続くよーーーー!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます