マトリョシカ
葉山流人
プロローグ
割と最近まで、自分は特別な人間だと思っていた。特別になれると思っていた。
小学性の頃、将来はバスケットボールの選手になるものだと信じてやまなかった。中学生になる頃にはそんな事、考えもしなかった。
バスケットボールでは特別になれないと悟り、色々なことに手を出した。自分が特別になれるものを必死に探した。自分は特別にならないと死ぬとすら思っていた。
大学受験が一年後に迫った高二の冬、受験勉強を建前に特別になろうとすることを止めた。自分は何事においても特別ではないという現実から逃げるように。
大学受験を終え、高校を卒業する頃には自分が凡人だという事を悟った。人付き合いも、勉強も、スポーツも、趣味も、特別になるためにやってきた全てのことも、ひとつ残らず人並みだと知った。
人並みだろうが凡人だろうが、別に死にはしない。
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