猫の話

歳木 薪

猫の話

 こいつも、大分大きくなったもんだにゃ。

 上から目線だって?

 仕方がにゃい。だって、怒っているんだみゃ!

 五年間も会いに来なかった。昔はあんなに遊んだのに……。

 いろいろなところに連れて行って貰ったし、たくさん抱きかかえて貰ったし。

 それにゃのに、突然、暗い部屋に移された。寝室というやつかにゃ? こいつとの、思い出の写真が飾ってあったのが辛かったにゃ。

 あぁ、そうだにゃ。怒っている以上に、寂しかったんにゃー……。

 みゃあいい。五年ぶりでも、会いに来てくれたんにゃ。これから、あの成長した胸にうずくめることを考えたら、許せるにゃ!

 さぁさぁ、近づいてきた!

 にゃにゃ! 触ってくれたにゃ! にゃ……?

 投げられた、にゃー……? 着地点は……段ボール?

 にゃ? まさか、まさかとは思うが、捨てる気じゃにゃいだろうにゃ……?

 にゃおーん。叫びたいけど、叫べにゃい……。

 にゃ! また持ち上げられたにゃ!

 落としただけだったのかにゃ?

 みゃー、怖かったにゃ。しっかり持つにゃ!

 あれあれ、またどこかに着地してしまったみたいだにゃ。

 筒状の中にゃ。あれかにゃ! 土管みたいな、新しい住処かにゃ⁉

 にゃはは。……現実は受け入れにゃきゃにゃらにゃい。にゃらにゃいもんにゃんだにゃー。

 周りには丸まったティッシュ……。つまり、これはゴミ箱にゃ。

 にゃおーーん!

 叫べるのにゃら、叫びたい。でも、やっぱり叫べにゃい……。

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