第2羽 愚図
謎の少女を自分の力で撃退できた俺(
なんてのんきに考えてながら俺は幼稚園へと戻った。
ーーしかし、さっきの停電は何が原因なんだ?謎の少女との因果関係はあるのか?
その時はまだ俺の中で結論は導き出されなかった。
「おーい鳩ォ~」
中に戻った俺は真っ先に鳩の名前を読んだ。だが鳩の姿はどこにも見当たらない。
なんだよあいつ…。いつもは神出鬼没で俺のことをずっと追い回してるくせによ…。
子供嫌いな幼稚園の先生()である俺が園児たちと添い寝する展開だけは避けたい。まして先程の醜態を考えると本当に園児とは関わりを持ちたくない。…胡散臭いからあの人の元に行くのは嫌なんだけどなぁ…。
しゃーない。
「ドリーさんのとこにいくかぁ…。」
「お、松山。どうしたんだ?」
「やることないんですよね~。ギガちゃんのDVDでもあれば話は別なんですけど。」
「それじゃあ瞬間接着剤界のTOPに君臨するSTAR、ドリー様と遊ぶk(ry…」
「いえ結構です!(満面の笑み)」
俺とドリーさんはこんな感じで他愛もない話をよくしている。
「でもドリーさんの瞬間接着剤だって何でもくっつけられるわけじゃないでしょう?」
「はぁ?ば、馬鹿にするんじゃねぇ!…なんならお前と鳩のことだってくっつけられるぜ!HAHAHA…。」
こうなるとドリーさんは面倒くさい。何言ってもすぐ女関係に結びつけてくる。ドリーさんも良い年した大人なのになぁまったく。
ドリーさんと話しているうちにあることを思い出した。…そうだ、俺はさっき銃を持った少女からこの幼稚園の治安を守ったのである。今すぐに自慢せねば…。
「ドリーさんドリーさん、聞いてくださよ!」
「なんだそんなふうに興奮して気持ち悪いな」
気持ち悪いだと…!?…まあいい、俺の武勇伝を聞けば絶対に『松山SUGEEEEEEE!』となるはずだ。さぁ、耳に焼き付けるが良い、俺の神がかった武勇伝をォ!
「さっき幼稚園の前に銃を持った少女が居てですね」
「ほう。」
「その子に1時は殺されるかと思ったですけど、なんと俺が口説いたら顔を真っ赤にして帰っていったんですよ!」
ドーーーン!ハハハ!松山様の武勇伝、どうだぁぁぁ!
しかし、ドリーさんは俺の方に顔を向けると、
「松山、お前最近欲求不満な上に疲れてるだろ?たまには休めよ…。」
………はぁ?なんか思ってたのと違く…ない?
そしてドリーさんは俺の肩をポンポンと叩いて一言、
「俺はいつでも相談に乗るからな、任せとけ!」
ファァァァァァwwwwwwだめだこりゃwwwwww
ガチの精神やばいやつだと思われとるやんこれ!
思えば今日は全くツイてないなぁ…。鳩にドロップキック食らうわ幼稚園児に女装がバレるわ、罵倒されるわ、ドリーさんに精神的におかしくなったと勘違いされるわ(元からおかしいっていう意見は無しな?な?)…。もう散々だ…。
再び俺は気分転換に外に出ていた。
「そもそも鳩のやつ、どこいったんだよ…。あーもう!ついてねー!」
俺は近くにあった遊具を蹴飛ばした。遊具には某夢の国のネズミの笑顔が描かれていた。
「こいつまで俺を嘲り嗤うのかよ、クソッ!」
と叫んだと同時に俺の目に映ったのは、反対方向から飛んでくる見覚えのある鳥類の面影だった。
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