episode.1 出逢い
黒い靴で雪を踏みしめる。
この周辺に目的の、人間の少女がいるという情報を受け、竜花(たつか)は、吹雪いて、雪が積もった白銀の森を探索していた。緑のマントを身につけているとはいえ、北の冬の寒さは、刺すように冷たい。
辺りを見回しながら歩いていると、倒れ込んでいる人を見つけた。髪や体の上に雪が積もっている。
竜花は警戒しながら動く気配の無い、それに近づいていった。
髪の長い少女がうつ伏せで倒れていた。血の気がなく、やや青い顔をした少女はうっすらと目を開ける。竜花は、乱れた髪の細い線の内に藍色の瞳を見た。そして瞳は瞼のうちにすぐ隠れた。
恐らく目的の少女というのは、これだろう。
竜花は雪を払いながら、少女を抱きかかえた。痩せてしまっているんだろうか、重さをあまり感じない。布越し手袋越しだというのに少女の冷たさがはっきり手に伝わってくる。
意識の有無を確認するため、竜花は少女に呼びかけた。
「……おい」
返事どころか身動き一つない。
竜花は、あまり効果がないだろうと思いながらも、少女を暖めようと、身につけているマントの中で少女を抱えた。
黒い前髪で目が隠れている少女の口元がほんの少し和らいだ。
「これが初めての『仕事』か…」
竜花はぼそりと呟く。
少女の体が突如だらりと力を失った。完全に気を失ってしまったようだ。
竜花はマントの中に少女を抱え直し、立った。そして、先ほどまではなかったはずの塔に向かって少女を抱え、歩いて行った。
脳内に男のものと思われる無感情な声が突如響く。
起きろ。起きろ。
「…………!?」
少女は自分にかかっていた毛布を握りながら飛び起きた。一気に頭痛と眩暈が襲いかかる。
頭を抑え痛みをやり過ごしていると、皮膚の感覚ではないものを手に感じた。それを慎重に指でなぞる。
包帯。それも、仄かに温かさを放つ包帯。
不思議な物。
ふと、視界の隅に黒髪が写る。
少し見回して、少女は、ベッドの上にいることに気がついた。
手に近づくほど袖が広くなっている水色のワンピース。その胸元の白色の襟の中心が黒色になっており、赤いリボンがついていた。少し、甘いような匂いがする。
そのワンピースの下には肌ではなく、白い包帯、恐らく頭の包帯と同じ包帯が巻かれていた。肩のところまで全身巻かれていた。一応顔にもふれると、おでこのところしか巻かれていなかった。
道理で苦しくなかったんだ。
部屋は明るい木材を主に使ったもの。半身を起こしている少女からみて左に窓、右手前にドア、右奥にテーブルとイスがある、普通の部屋だった。
気遣うようにゆっくりな足音がする。ゆっくりとドアが開く。
すると、黒い長い髪を結い、緑のマントを身につけ、その下には黒い洋服とズボンと革靴をはいた青年が、スープのようなものが乗ったお盆を持って現れた。
「起きたか」
その見知らぬ青年が話しかけてきた。
青年、竜花は大して気にせず、お盆を置き、ごく当然のようにベッド脇の、少し温もりのある椅子に腰掛ける。
「……………」
少女は「誰?」と聞こうとするも、口ばかり動いて声が出ない。
不審に思い、喉に手を当てたが何も分からない。
突如喉を押さえて、慌てふためく少女を見て、竜花は口を開いた。
「声が出ないのか?」
少女はちらりと青年を見てうなずく。
竜花は眉をひそめ、少し考えるような表情をした。そして何か思いついたのか、瞼がぴくりと一瞬上がった。
「メモ帳とペンを持ってくる。少し待っていろ」
竜花は足早に部屋を出て行った。
竜花はほぼ無表情だった。しかし、声が出ない少女を気にかけてくれる。きっと、いい人だと思った。
いや、意思の疎通に支障が出るからか。一応警戒しておこう。
…こういうのは、相手を安心させるために微笑むような気がするが。身勝手な考えか。
ふと少女は首をかしげる。なんで警戒してるんだろう。
少女は首を左右に振る。初対面の人を警戒するのは当たり前か。
きっとそうだ、と少女は目を伏せ一人納得していた。そしてスープの乗っているお盆に手を伸ばす。
突然、激しい痛みが背を走った。
あまりの痛さに少女は体全体を丸める。お盆へ向けた手を引き寄せた。声は出ない。
痛みで歯を食いしばった。
「ーー!、ー!」
痛みが拡がる。やがて左腕に痛みを感じ、歯を食いしばりながら右腕で左腕の袖をまくり包帯を解く。
少女は驚きのあまり、目を見開く。
腕はまるで内出血のように青黒く染まっていた。
それが手にも拡がり、やがて不思議な包帯をめくると右腕、両脚に拡がっていた。
少女はあまりの痛みに、ベッドから転げ落ちる。
竜花は、少女を一人にして良かったのだろうかと、部屋を出てから思った。そんなことを考えながらも竜花は階段を降りて、備品を置いてある倉庫に向かった。ここには『向こう』から送られてきたもの、生活に必要なものをしまってある。
その中でだいたい50cmくらいの立方体の青の箱がある。これはあの少女に関するものが入っているのだ。
箱を漁り、ペンを見つけた。本棚からノートを取り、一息つく。すると、突然大きい音が上から、少女の部屋から聞こえた。
(敵襲だろうか)
何にしたって早く戻るに越したことはなさそうだった。ノートとペンを持って髪とマントを翻し、階段を駆け上がり、少女の部屋へ早歩きで向かう。
落下したときに床にぶつけた箇所も激しく痛む。
突如、頭の中に男の声が響く。
『.........、それは代償』
それ、とは、この痣のことだろうか。
『それら全てを浄化し、………をと………し、戻ってこい』
浄化…。それに、ときどき何言ってるか分からない。
『お……の願い………すため……』
願い。願い? なんだそれは。
『待ってるから、………。』
声が聞こえなくなると同時に痛みがなくなった。痣がなくなったのかと腕をみてみたが消えていなかった。
しかし、包帯に、何か目に見えず、触れることも出来ない結界のようなものがあるような気がした。
すると、足音が聞こえた。先程の青年だろう。
少女は急いで不思議な包帯で、青黒い肌を覆った。
しかしベッドに上がる前に、竜花が勢い良く扉を開いた。
「物音がしたが、なぜ床に?」
少女は何もないよと言わんばかりに首を振った。
竜花は胡乱げに、少女の濡れている黒い瞳を見たが、諦めたようにノートとペンを少女に渡した。
「俺は竜花。お前の名前は? …の前にお前は安静にしていないといけないのだから」
と竜花は少女をベッドの上に軽々と運んだ。
少女に若干の気恥しさがあったが、名前について考えると自然と表情が無になる。
行動やものの名前、そういった常識的な情報は頭の中にあるのだが、自分についての記憶が一切ない。少女は自分の名前が分からなかった。
でもとりあえず名乗っておけばいいか、と少女はペンをとる。
ふと少女の視界の片隅を物体が動く。少女の視線が窓から見える遠い白い地面に動く。雪の白さに埋もれてしまいそうだが、くっきりと白い兎が走っているのが見えていた。
少し間を開け、書き始める。
『白兎(しろう)です。』
付け加えるように『今つけました。』と書き加え、竜花に見せた。
「今つけた…………。記憶がないのか?」
少女、白兎は頷いた。
「そうか……」
そこで会話が終了する。
やはりただの“仕事”じゃないということか。しかし、こんな子供が……。
竜花の頭の中で思考が進められる。白兎はそんな竜花の顔を見つめる。
会話が生まれず、なんともいえない沈黙が流れる。
白兎はとりあえず疲れたのでベッドに横になった。なんとなく竜花に背を向け、窓を見つめる。
竜花は独自の思考に区切りをつけ、話を切り出す。
「何か必要な物はないか」
白兎はベッドの上で左右に首を振る。
「そうか」
なぜか沈黙が心地よく感じた。
そのまま白兎は闇の底へ。
追いかけられる。
何か、恐ろしいモノに。
『助けて!』
「……………!」
白兎はパチッと目を見開いた。無い記憶に似たようなことがあった気がする。しかし、これは明らかに別。
胸に手を当て、荒い呼吸と心音を抑える。ベッドが気持ち悪い。肌にもじんわりと汗が出ていたようだ。
念のため起き上がり、周囲の確認をする。すると座っていた竜花がじっと白兎を見つめていた。急いでノートとペンを用意する。
ずっといたのだろうか。
『すみません。どれくらい寝ていましたか』
竜花は疑問そうな顔を見せた。
「お前、寝てたのか」
白兎は頷いた。
不思議そうな様子から、少ししか時間が経っていないらしい。敵襲もなさそうだ。
不意に、夢の、少年の『声』が聞こえた。
『助けて…』
再び、竜花を見る。この男から、声変わり前のやや高い声が出るとは思えない。動揺とかもしていないようだ。聞こえなかったのか?
もしそうなら自分だけにしか聞こえていないのだろうか。
白兎はノートに『何か聞こえませんでしたか?』と書いて竜花に見せた。
「何も聞こえなかったが」
竜花は不思議そうな顔で見つめる。
また『声』が。
『助け…て……』
『声』が薄れる。反射的に両手で両耳を押さえる。すると少しだけ『声』が近くに感じた。
心臓が激しく鼓動し、白兎は更に目を見開く。
この異質な気配は。
『………助けて!』
「…………」
白兎は耳に当てていた手をだらりと下げた。
彼女はすらりとベッドを降り、窓に向かって歩き出す。
竜花が席を立つ。彼女の背に不穏なものを感じたからだ。竜花が白兎を止めようと声を掛けようとする。
「おい……」
瞬間、白兎、否、少女は振り向き、竜花を見た。
少女の藍色の瞳が、紅くなっていた。
竜花は足が縫い止められたように、その場から動けない。黒髪を翻し、少女は、窓からかなり高さのある冬の森に容易に飛び降りていった。
残された竜花はすぐに窓に身を乗り出して、白兎の姿を探した。さっきまでの様子からは想像もできないほど素早い動きで森を走っているのが見えた。
鮮血のように紅い瞳を思い出す。
「何なんだあれは」
頭を手で抑えながら数年前の記憶が甦る。
『あれを助けてやってほしい。そして、出来ることならば…』
与えられている情報が少ない。足りない。竜花は唇を噛み、舌打ちをした。
無言で竜花は窓から飛び下りた。
ひたすら走っていた少女は、森の開けた場所に、2つの大きい影と1つの小さい影を認めた。
少女は膝を折り、しゃがんでいる状態に近い体制で、片手を地面につけた。そこに楕円の青白い光が現れる。そこを素早く足で踏み込んで高く跳躍した。
少女は空中で、握った両手を目の前に出し目を閉じた。すると、そこから光の粒が集まり、刃物と棒の間に雪だるまの飾りがついた薙刀が現れた。
両手で薙刀を持ち、呪文を唱える。持ち手から光が薙刀を覆う。
「武装『浄化』」
刃が光り輝く。紅い瞳を見開く。
少女は重力に任せ、大きな2つの影に向かって頭から落ちる。
すぐ、体制を整え、一気に大きな2つの影を薙ぎ払って着陸した。
すると、2つの影は光の粒となり、空へと消えていった。
(『ニセモノ』か…)
少女はそう心の内で呟き、目を細めた。
少女の目の前にいる、顔を腕で覆う少年は脅威が去ったことに気づき、目の前の少女を見た。軽く礼をし、近くの村に逃げ帰った。
紅い瞳が恐ろしかったのだろう。
少女は一息ついた。塔に戻ろうと、薙刀を消して少年とは逆の方向、元来た道を行こうと振り向いたとき。
「しまっ…!」
突如、少女の顔が、紅い瞳が苦しさに歪む。全身が痛い。少年のような声が苦痛に掠れる。
「申し訳ない、白兎…」
瞼が閉じられていく中、走ってきた竜花が視界に入る。瞳の色が紅から藍色に変わっていく。
瞼が完全に閉じられた後、少女はぱたりと地面に倒れ込んだ。
少女を中心として地面に黒い円が展開される。
竜花はこの世界を学ぶため、術を使うための魔法陣を本で学んだ。しかし、今目の前にある何も描かれていない魔法陣は見たことがない。
竜花が驚愕に動きを止めていると、その陣から、瘴気が勢いよくその地を覆った。
竜花は腕で顔を庇った。
暗い暗い闇の世界。
そこには藍色の瞳の白兎と、白兎に似た紅い瞳の少女がいた。2人は向かい合う。白兎は困惑したように周辺を見る。そんな白兎を紅い瞳の少女はじっと見つめる。白兎もその視線に気づき少女を見つめる。戸惑いながら口を動かす。当然白兎の声は音にならない。
紅い瞳の少女は、それを優しく見つめる。
「分かってる。無理しなくていい。お前と等しい存在だから」
紅い瞳の少女は少年の声でそう伝える。
「俺がうっかり力を使いすぎたせいで、かなりの負担をかけてしまった。申し訳ない。今、竜花が懸命にお前を助けようとしてくれている。…まだ、分からなくていい。」
『なんで…こんな!』
『必ず護る…!』
『おい…逃げろ!早く…!』
『白兎…こっちへ…』
少女はガクガクと震えていた。怯えていた。
いやだ。何も見たくない。何も聞きたくない。
知らない。何も知らない。何も知りたくない。こんな『声』、知らない。
『魂は覚えている』
『周りは覚えている』
『お前に寄りついた呪いたちも』
『知っている。覚えている』
『思い出せ。思い出せ』
黒い者たちは、私に言ってくる。
それに相対するように、紅い者が言う。
『まだ駄目だ。早すぎる。今、思い出せば、闇に、『やつら』に引きずられる。……まだ、思い出すな』
最後は私に優しく語りかけてくる。私によく似た子。
「起きろ!!!」
突如、現実の声に呼び起こされる。白兎の瞳に光が灯る。
『行け**、いや、白兎』
私に似た紅い者が私を立たせ、背を押す。
白兎をとりあえず起こそうと瘴気を吸わないよう口を抑えながら叫んでいた竜花。それでも少しずつ瘴気を吸い込み力が奪われながら魔法陣を無効化しようと目が覚めない白兎に近づく。
白兎は目を覚ます。体が異様に重い。
周りにあるのは瘴気だろうか。体に害をなす瘴気を吸って眠っていたのだ、体が動くはずもない。
「白兎!!目が覚めたか!!!」
はっとする。先程の夢みたいなものも併せて、現在の状況を思い出す。竜花は命を賭して白兎を助けようとしている。
白兎はもはや体が動かない程度で、意識ははっきりしているし、これ以上悪化することは無いようだ。だが竜花はそうではない可能性がある。
早くどうにかしなければ。だが、体はどうしても動かない。どうすればいいんだ。
…それにしても、この魔法陣。いや魔法陣と呼べるのか、どこかで見たことがある気がする。
「白兎!!そっちからこの陣は解除できるか!?」
それよりも目の前のこと。体も動かないし、頭は働くが何も思いつかない。
白兎はどうにか頭を持ち上げて、横に首を振った。
それを竜花は認めて、「わかった、そこから動くな」と言って後ろに飛び去った。
竜花が見えなくなって一瞬不安になるも、すぐ、ああそうかと納得する。
きっと助けを呼びに行ったのだろう。術の中心にいる白兎を殺すための人手を。術者が死ねば、大抵は術の効果が無くなる。
それか、最悪の場合、逃げたか。
そんな無責任なことは無いかもしれないが、とりあえず前者の場合であれば、白兎はまだ、今しばらくこのままだろう。
無気力で目を閉じたまま、時が過ぎるのを待っていると、突如白兎の肩スレスレで、斬撃のような鋭い気配を感じた。
当の白兎はと言うと、驚愕で心臓と脳がが一瞬止まりかけ、閉じた瞼を上げることが出来なかった。
一呼吸して恐る恐る目を開けると、そこに色濃くあった瘴気が、先程まで何も無かったようにとてつもなく薄かった。そして、そこにあったはずの陣が掻き消えていた。
瘴気の供給が絶たれ、徐々に外の空気と混ざり合い薄くなっていく霧の向こう側。竜花のような姿の影が、細長いものを1つ持ち、構えるような動きをした。直後強力な暖かい風が吹き荒れる。白兎も反射で目を閉じる。
風が収まったことを肌で感じ、再び目を開けると瘴気が完全に消滅していた。陣も完全に消え去った。
神々しい風の中、竜花は気づいたら剣をどこかへ消し、その長い髪を穏やかに靡かせ、白兎に向かって歩いていく。
白兎は呆然と口を少し開けたまま。
竜花は部屋と変わらない様子で。
二人は手を伸ばす。
竜花の大きな手が、白兎のか細い手の手首を掴む。
瞬間。竜花に強い力で引き寄せられ、暖かい風が吹き荒れる。長い髪とワンピースが風に弄ばれる。
白兎は目を瞑る。
何か暖かいものに包まれた感覚がした。目を開くと視界が暗かった。だがすぐ竜花の腕の中にいることが分かった。
竜花を押し退け、離れた。が、すぐによろめき、竜花に抱きとめられる。
竜花の無表情な顔を見て、とても安堵した。
頬を温かいものが流れ落ちるのを感じた。目をこすっても、どんどん溢れてくる。
すると突然、頭を撫でられるのを感じた。
竜花を見上げる。
「暖かいだろう。これは神気といってな」
白兎は首を傾げた。
「神の力の波動。清浄なる気なんだ。……俺は竜神(たつかみ)と呼ばれる。それに由来して、竜花なんだ。別に覚えなくていい」
白兎はふるふると頭を左右に振った。
そして近くの地面に落ちていた石で文字を書き始めた。
『名前は、大切です。由来も大事です。自分の名前を適当に決めた私が言えることではないですが…』
「いや、記憶喪失なら仕方ないだろう。……さあ、塔に戻ろう」
とう?
白兎は首を傾げ、辺りを見回し始めた。
突然の白兎の行動に困惑した竜花は、白兎に話しかけた。
「どうした?」
白兎は状況が飲み込めず、混乱した様子で答えた。
『ここ、どこですか?』
竜花は先程、超高速でここまで駆けてきたやつが何言ってるのかと疑問に思った。
「覚えてないのか?」
白兎は更に混乱する。
『何がですか…………?』
諦めた竜花は帰宅を優先した。
「まあ、いい。とりあえず戻るぞ」
白兎は困惑しながらも、頷いた。
それを見た竜花は白兎をひょいっと抱き上げ、横抱きで歩き出した。
白兎は暖かさに安堵して目を閉じ、されるがままになっていた。
竜花はほぼ動きのない白兎に負担がかからない程度で走った。
流石に冬の寒さに白兎は体を冷やしていた。
昨日の朝のように冷えている。
「あの格好と寒さの中、普通は一日で起きられるほど回復するのはおかしい」
それに、と
(瘴気を吸い過ぎれば、徒人なら死に至る。体は自由ではなかったようだが、顔色はそれほどまでに悪くはなかったし、俺の言うことも理解し、反応していた)
一体、何者だ?
竜花はベッドの上に、眠っている白兎を乗せ、毛布を掛けた。
竜花は静かに部屋の扉を閉めて自室に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます