セブンスドール
こうえつ
死に方を見つける旅
二千年後の世界
第1話 A.D.4021.目覚め
アーサー・C・クラークの三法則
「充分進んだ科学は魔法と見分けがつかない」
ドックン
……ショック剤を投入され目が覚めた……
いつもの事ながら、薬による強制的な目覚めは気持ちの良いものではない。
作戦を円滑に進め、資源を消費しない為とはいえ作戦開始直前までの強制睡眠状態。そして作戦開始と同時に、強制的に薬で急速に目覚めさせる……一生慣れそうもない。
A.D.4021.
部隊が乗った十二個の鋼鉄の隕石は、自然の隕石落下を装って大気の落下速度を速める。
大気が薄いこの星でも、空気の摩擦により隕石は高熱を発し燃え始めた。
「地上まであと90秒——システム起動準備」
搭乗しているマシンのOS「ラバーズ」から警告音声が聞こえ、大きく振動するコクピット。
ハッキリしない意識と身体で、地上への着地のショックに備える。
敵に発見されない為に、隕石に偽装した機動兵器が激しく揺れる中、搭乗するパイロットの手も大気圏突入の衝撃で震え始めた……そして音速を遙かに越えた速度で地上が迫る。
激突……寸前にフルブースト。
推進用ブラスタが、高エネルギーを排出して、機体に強いブレーキをかける。
地上スレスレで隕石は止まり、機体を包んでいたブロックが剥げ落ちはじめる。
「突入チームへ伝達。攻撃システム起動。搭乗者へ戦闘昂揚剤を投入開始」
騎乗する超兵器のOSラバーズからの指示、身構える、ドクン、一瞬、息と心臓が止まる。
首筋から入れられた管から、戦闘昂揚剤を直接血管から投入、一気に心臓が拡張して、バイタルが上がり身体の隅々まで、神経が通り始め感覚が、戦闘モードで立ち上がる。
戦闘OSラバーズがMBE「マイクロ・ブラックホール・エンジン」を起動、振動と共に人型機動兵器「紅のセブンスドール」が粉塵の中、砂漠の星に降り立つ。
「この先に最強の敵が待っている」
コクピットのオープンされたディスプレイに映る、赤茶けた星の砂漠。
どこまでも続く風景を見て、パイロットは一年前のドレスを纏った自分の姿を、思い浮かべていた。
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