第72話 可愛い本仮妻と忘れ物
前置き
近況ノートにて悠と由季の入れ替わった話を書いてみました。ただイチャつくだけですが……。
**** ****
「なんか疲れたね」
「そうだな」
俺と由季はホテルに帰ってきて早々、畳が敷いてある小部屋で寛いでいた。夕食を食べにいく為に、外に出るのは辛いと思ったので、帰りにコンビニに寄っておにぎりやらサンドイッチも買ってきている。
「久し振りだな、コンビニのおにぎり」
「私の料理とどっちがお好み?」
「由季の料理」
「即答されちゃった。ん、意外と美味しい」
体力回復には塩っぱいコンビニのおにぎりが体に染み渡る。沈んでいく夕日を浴びながらでの食事は結構楽しいものだ。
「ふぅ、思い返してみると今日は色々あったね」
「色々あり過ぎだな」
起床後のイチャイチャに、朝食スペースでのイチャイチャ、バスの中での由季の変態行為の暴露や、神社でのイチャイチャ……。
ほとんどイチャついていただけだ……。
「でも楽しかった。外でイチャつくのも茂みでイチャつくのも凄く新鮮だった」
「もっと他にはないのか」
「他にって、神社で願い事したのとお昼食べる時以外は常にイチャついてたし……」
「そうだよな……」
これでは旅行に行っても行かなくても良かった。まぁ、半端連れてこられたようなものだけど。その連れてきた本人は途中離脱してしまったけれども。
「でも、今回の旅行があったから、ゆうの女兼ブタさんになれた訳だから来て良かった」
「ブタさん好きだな」
「ふふっ、ぶひぃ〜」
「可愛い」
「えへへ」
スリスリと身を擦り付けて来る由季の頭を撫でてやる。本当に愛おしくて可愛い未来の妻である。ご褒美にはブタの着ぐるみパジャマでも贈ったら喜ぶだろうか。
「ねぇ、ゆう?」
「どうした?」
「何か忘れてることない?」
「特にないと思うけど」
「ぶぅ〜」
由季が不機嫌なブタになってしまった。機嫌を直すには、その何かを思い出さないといけないが、一向に出てこない。いや、由季のことだからもしかすると……。
「初めてを忘れてきたとか……?」
「な……」
由季は俺と男女の関係になった時のことを思い浮かべてしまったのか、頬を赤く染めてしまった。……これは思っていた答えと違っていた反応だな。
「ゆうのえっち……。そんなにしたいなら、しても良いよ……」
「いや、それは……」
いくら男女の関係になれたからと言っても、その日の内に何度もするのは……。
「したくないの……?」
「したいです」
したいに決まってる。俺だって男なのだ。それも愛しい人と繋がれるチャンス。拒否する理由がない。
「じゃあ、今日の夜……」
「あ、あぁ……」
そしてしばらくの間、静寂が訪れる。だけど、その静寂は嫌なものではなく心地良いものであった。多少、気恥ずかしさはあるけども。
「ゆう、こっち向いて」
「な……んんっ……」
顔を横に向けた瞬間に由季に唇を奪われた。そのまま、由季の舌を受け入れてディープキスに応じれば、凄く濃い味のものが由季の口から渡されてきた。
そのあまりの強烈な味に思わず、キスを止める。
「ちょっ、由季、これって……」
「昨日の行きは味噌汁飲んでくれたけど、今日は味噌汁作れる場所が無かったから……」
だからと言ってチューブに入ってる味噌を直接口に含んで渡して来るのは予想外だ。
「毎日作ってくれるのは嬉しいけど、無理してまで作らなくて良いんだぞ? まあ、それで今回の味噌汁は何て名前なんだ?」
「……
「そ、そうか」
何の捻りもない直球の味噌汁だった。
「……じゃあ、おかわりって言ったらどうする?」
「んっ……ど、どうぞ」
味噌を口に入れた由季が腕を広げて、俺を招いた。そんな可愛らしい行動を起こした由季を抱き寄せると、俺は唇を触れ合わせた。
勿論、濃い味付けの為、ゆっくりと由季の口の中で溶かしながら頂いた。
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