Scene14 -5-
ウィザードの妨害によって行動不能になっているあいだ、古代の人間によって封印されていたセガロイドが解放されてしまった。
「(ゴアァァァァァァァァァァァァ!)」
解放と同時に上げる
ウォリアーよりもふた回りは大きく見える体はあきらかにパワータイプだ。レオンが空手家ならこのセガロイドはレスラーを思わせる。それもかなりの巨漢でヒールだ。
ガイファルドたちはこのセガロイドの復活に気を取られ過ぎて、ウィザードが弱体化していることに気が付かなかった。
『(攻撃デバイスへのエネルギー伝達5パーセント未満。フィールド生成停止。動力炉の稼働効率17パーセント。エネルギーの80パーセントを飛行デバイスの稼働に収束。飛行デバイス稼働まで47秒)』
ひとしきり吠えたセガロイドはすり鉢状の地からその
「レオン、気を付けて」
レオンに注意を促したノエルはスナイパーライフルを構えるが、ウィザードの攻撃によって完全にショートしてしまい、まったく機能しない。ライフルを背部のアームズラックにマウントして腰部のダガーを構える。
駆け上がってくるセガロイドが飛び上がり着地すると、その重量から大地が震動。その震動を皮切りにレオンとノエルが突進した。
レオンの左右の連続正拳が胸部と腹部に直撃し巨体がずり下がる。
『重てぇ!』
続けてノエルが低い体勢から伸び上がるように胸部を斬り付けた。
『硬い』
正面に立つ巨漢のセガロイドに意識を集中させるレオンに対して、背後で沈黙したようにおとなしいウィザードを警戒しつつ戦うノエル。
両腕を前に構えたまま固まっているこのセガロイドへ攻撃を重ねているレオンとノエル。ノエルのダガーを振り回す大きな隙の合間に1発のパンチが撃たれた。
ウィザードに意識を裂いているノエルの振り回すダガーが不用意に大きくなってしまっていた。
ガード状態の小さな構えから打たれた拳がノエルに向かって伸びてくる。その攻撃に反応して逆さ持ちのダガーでガードするノエル。だったが、受けたノエルのダガーごと腕の内骨格はへし折られ、腕ごと胸部を叩いた。
「ノエル!」
二転三転と転がるノエルを見てそのダメージの大きさを察知したレオンは、このセガロイドの重心が自分に向いたことに気づくのが一瞬遅れる。
レオンの拳が頭部を打つのだが、ほぼ同時に放たれた巨漢セガロイドの拳もレオンのこめかみに叩き込まれ、相打ちにもかかわらずレオンはノエルと同じように転がっていく。
レオンの頭部を保護するヘルメット状の外皮にはヒビが入っており、レオンは倒れたまま動かない。
「あっ……」
ノエルはすぐに起き上がりレオンに向かって折れた腕を伸ばす。すると、レオンを攻撃したセガロイドの背中と肩、それと踏み出した足の膝から爆発が起こった。
「(ウググググゥゥゥゥ)」
セガロイドは妙な唸り声を上げながら倒れるレオンに向かって足を踏み出す。しかし、3歩ほど歩いたところで再び背中から煙が上がった。
「(ラーグ、貴方もゴルン同様劣化が激しいようです。ここは一旦引きましょう。私も貴方を解放するのに無理がたたって思うように動けません)」
「(バルド、許さん。バルド、許さん。オルガマーダども、絶対に許さんぞ!)」
激しいダミ声で叫ばれるその言葉が憎悪に満ちているとノエルは確かに感じた。倒れるレオンのそばに駆け寄り脇から抱きかかえ、彼女は2体のセガロイドから離れる。セガロイドもまた、体から煙を上げる仲間にウィザードが肩を貸してゆっくりと上昇していく。
戦いに集中していたことで気が付かなかったがDゾーンの濃度は薄くなり空間に影響を及ぼすエネルギーも激しく瞬いていた電撃も収まり、すり鉢状の封印の地も薄くなっていく。
「これで3体目」
第4位のウォーリア、第5位のウィザードに続いて解放された3体目のセガロイドは、この2体よりも上位であることは確定的だった。それはガイファルド2体の攻撃を平然と受け、ノエルの腕をへし折り、一撃でレオンを沈めたことが示している。
すべてのエネルギーを放出した機械虫はすでに力尽きて崩れ始め、曇っていた異界の空は元の快晴に戻っていた。
上空にはイカロスとセイバーが飛行し、2体のセガロイドと鳥型の機械獣はすでに居ない。ノエルとレオンがDゾーンから現れる直前に出てきた2体のセガロイドをストレニックが掴んで飛び去ってしまったのだった。
「レオンは大丈夫なのか?!」
レオンを抱えるノエルのそばにセイバーが降り立つ。
ストレニックがおとりだったことでセイバーはダメージはなかったが、今回はレオンが重いダメージを受けていた。
垂直降下してきたイカロスにガイファルドを乗せ、レオンの状態をモニターしつつ、イカロスはガーディアンズ基地に帰還した。
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