第一部
Scene0(前日談なので興味が出たらどうぞ)
いつくもの火の手が上がるY市を横断する国道で、自衛隊の誇る十式戦車のキャタピラがアスファルトを削りながら走り抜ける。
八台の戦車が二列四台に並ぶと重厚な砲台が旋回し始めた。間近で見れば頼もしさと恐ろしさを感じる四十四口径の砲身を持つ砲台の旋回を終え、上下角の修正を完了したところで静止した。
戦車部隊が砲撃の準備を完了させると、前方で巨大な物体が倒れ、アスファルトが波打つほどの振動が伝わってくる。
その振動が止んだタイミングで鼓膜に響く音と衝撃を発して四十四口径の砲身が火を噴いた。
放たれたのは貫通力の高い徹甲弾で、目にも止まらぬ速度で標的に全弾命中した。射撃を完了した十式戦車はそのまま自動装填装置により次弾発射の準備を始め、後退の指令を受けて二十メートルほど後退して射角調整する。
大概の物を破壊できる威力を持つ戦車砲が八発直撃したにもかかわらず、いまだ臨戦態勢を取っている理由は……。
砲弾の着弾地点から巨大物体が跳び上がり、先ほどまで戦車隊が留まっていた地点に着地した。
巨大な鎌状の前脚と地面に突き刺さって体を支える四本の後脚。頭部には触覚と思しき物もあり、その巨大な物体は昆虫に似通った形態をしているのだが、一点大きく違うのは機械であるということだ。
一台の戦車が攻撃命令を受けずに戦車砲を放つと、釣られたように他の七台もその砲身が火を噴いた。至近距離での一斉斉射を受けた対象だったが、少しばかり後方に押されながらも長い脚の一本を移動させてその巨体を支える。
「退避っ!」
一斉に後退を開始する戦車の一番先頭の車両が、昆虫メカの六本の脚のうちの一本に踏みぬかれた。
徹甲弾を放ちながら後退する車両に、次々と振り下ろされるその脚を蛇行しながら回避するが、車両同士の接触が起こり回避不能な状態へと追い込まれてしまう。
団子状態で身動きの取れない戦車部隊に二本の前脚が振り上げられたそのとき、地面を震わせてもうひとつの巨大な物体が近づいてきた。
「させるかっ!」
全長十七・三メートル、重量百九十一・三トンの人型ロボットが巨大な昆虫を後方から体当たりで吹き飛ばした。
「ゼイン大丈夫か?」
先ほど吹き飛ばされたことを心配気に声をかけるのは、このロボットの搭乗者である神王寺
しんおうじ
雷翔
らいと
だ。年齢は二十一歳。頭脳明晰、運動神経抜群、強靭な肉体を持ち容姿端麗で優しく爽やかな正義漢であり、世界屈指の大富豪である神王寺コンツェルンの長男でもある。
「稼働効率九十一・二パーセント、まだまだいける」
その問いに答えるのは対機械虫防衛機動重機ゼインに搭載された超AI【ゼイン】だ。神王寺コンツェルンが運営する対機械虫防衛組織【Guard of Terrestrial(地球防衛隊)】通称 G.O.T(ゴット)が建造した巨大ロボットで、神王寺雷翔が駆るライトブースターが合体して二身一体となった機動重機ライゼインは、人類が保有する最強の戦力である。
現代科学を超越したテクノロジーによって建造されたゼインは、同じく超AIを搭載したロボット二体と簡易AIを搭載した複数のサポートロボと共に、この一年あまり機械虫と戦ってきた。
ライゼインは機械虫に向かって左足を踏み込み、膝、股関節、腰部の順に駆動音を響かせて力を伝達し、その力はさらに肩から肘、拳へと伝わっていく。その巨体から繰り出される豪快なパンチは機械的でありながらもおよそロボットとは思えない滑らかな動きで拳を加速させた。
「ハンマーナックル!」
機械虫の腹部に拳が接触した瞬間にライゼインの腕部に装着されたリングが前方に移動する。そのパンチの一撃で亀裂の走った装甲は、リングの移動によって起こる追い打ちの衝撃により打ち破られ、拳は機械虫へとめり込んだ。
「くらえ、サンダーボルト!」
めり込んだ拳から電撃がほどばしり、機械虫を内部から破壊し、次々と上がる小さな爆発が終わると、機械虫は力を失いゆっくりと後ろに倒れた。
「自衛隊のみなさん大丈夫でしたか?」
十式戦車から出てきた自衛隊員は手を上げて感謝を示し、機械虫に踏みつぶされた戦車の搭乗者もどうやら無事だったようで仲間に救出されていた。
「よかった」
ライトがそういうと、ライゼインの足元がふらつき片膝を付いた。
「どうしたゼイン」
「すまん、バランサーと膝関節アクチュエータの制御にエラーが出た。再度出力の調整をおこなう」
「ゼイン、損害状況のチェックだ」
「エネルギー残量三十八パーセント。右肘関節部に微細なクラック発生。腰部駆動部、右膝関節にクラスBの損傷。右腕サンダーボルト出力は七十六パーセントに低下」
今日はこれで三体のB級機械虫を倒した。B級の基準はライゼインと同格の戦闘能力ということだ。今日はB級の中位一体と下位二体との連戦をおこなったため、機体の損傷及び消耗はそれなりに大きい。
「一度本部基地に戻って機体の整備を受けよう。もうすぐガンバトラーの修復も完了するはずだ」
ガンバトラーとは超AIを搭載した中遠距離火力特化型の機動重機だ。
「了解。基地に帰投する」
ライゼインは自衛隊員たちから数歩離れて周囲を確認をすると背部と腰部のロケットエンジンを点火し離陸を試みる。膝関節を曲げて沈み込み、スラスターを噴射して離陸補助のための反動をつけようとしたそのときだった。
「十一時の方向に高エネルギー反応」
ゼインはボイスアラートと同時に機体を右に倒しながら捻りを入れた。
高エネルギーはビームとしてライゼインに向かって発射され、カッと光が見えた瞬間にビームは胸部をかすめ左肩に命中。わずかな時間で装甲を融解させた。
「うわあ」
左肩の関節駆動部と動力伝達機構は破壊され左腕がダラリと垂れ下がる。
「左肩部に深刻なダメージ、左腕及びパイルバンカーの使用不能」
コックピット内は赤いランプと警報が鳴っていた。
「これだけ強力なビーム兵器を使うということは……」
B級の上位の機械虫が搭載したビーム兵器が直撃しても、たったの一撃で装甲を融解させることはなかった。ましてや、内部の駆動部までも激しく損傷を受けたことなどない。そして、B級中位以下の機械虫がビーム兵器を使ったという情報は、世界各国の戦闘情報にもなかった。
焦りの混じった声色のライトの言葉にゼインも同じような口調で応えた。
「A級機械虫だな」
A級機械虫が最初に現れたのは三週間ほど前だ。ライゼインを超える敵のランクをA級と称したが、この一年そのランクの敵は現れなかった。だが、ついに現れたA級の機械虫はライゼイン、ガンバトラー、ガードロン、さらにサポートメカたちを全て駆使して、ようやく勝利したほどの強敵だった。しかし、その代償は大きく、一部のサポートメカは大破、ガンバトラーとガードロンも中破以上の損傷を負ってしまった。
「もし、このビーム兵器を使用したのがA級機械虫だったとしたら、損傷著しい我々だけでは到底かなわないぞ」
現状の互いの戦闘能力と自衛隊の戦力や戦闘フィールドなどの状況を加味して分析した結果を知らせるゼイン。分析する必要もない明らかな結果ではあったが、あえて『現状では勝てないからせめて万全の状態にして』と敵に背を向けることを嫌うライトに対して遠回しに撤退を促したのだ。
「だとしても、この世界で戦えるのが俺たちだけならば、いかなる状況であっても決して逃げるわけにはいかない。そして、今がそのときなんだ!」
「来るぞ!」
建物を飛び越えて上空から飛来する機械虫。今戦ったB級よりもたくましい骨格を持った巨体が大地を揺るがした。前腕に鎌は装備されてはいないが、棘状の突起が付いた頑丈そうな脚を備えている。牙を持つ口を開いて威嚇するように泣きわめきながら、その足を振り下ろしてきた。
「その不用意な大ぶりの攻撃は完全に俺たちを舐めてるな」
「そりゃぁ!」
横に飛び退いてガラ空きの懐にハンマーナックルをお見舞いする。機械虫に二次衝撃が伝わり全身を震わせるも、装甲に亀裂を入れることはできない。
「この程度の威力ではダメだ。もっと大きな衝撃を与えなければ」
「一発で駄目なら二発三発と叩き込むまでだ」
立ち直った機械虫は振り下ろした前脚を横に薙ぎ払う。
「ゼイン!」
脳波リンクシステムでゼインとつながっているライトは、ゼインの名を叫びながら思考により回避運動を指示する。
後方に飛び退りながら右腕でガードしたが、一回転して背中から地面に倒れこんだ。
「右肘関節のクラック増大。サンダーボルト発生システム第二機構機能停止。出力六十四パーセントまでダウン」
「まだまだ!」
背部バックパックのスラスターによって勢いよく起き上がったその場所に、ふたつの前脚が叩きつけられた。
ショートジャンプで回避し、再度スラスターによって機械虫の頭目掛けて左足の蹴りを見舞う。
のけ反ったところへ顔面にミサイルを炸裂させ、肩部のガトリングガンを乱射。腹部へとハンマーナックルを食らわせて横蹴りで吹き飛ばした。
「ダメだライト、サポートメカの装備を使わなければ勝算は……」
「勝算はある!」
ゼインが言葉を言いきらないうちにライトはそう言い切った。
機械虫は腹部側面の装甲を開きミサイルを発射する。ライゼインが横に走りながらそれを回避すると、機械虫の胸部の八つのレンズが光り始めた。
「エネルギー増大」
「レーザーアーマー発動!」
発射された八つのビームが地面を走り空を切り裂く。
回避運動をしたライゼインにいくつかビームが走り抜けるが、装甲が赤く変色しただけで破壊や融解には至ってない。それは今のビームがB級機械虫レベルの威力であり、装甲にレーザーアーマーを展開していたからだ。
着地したライゼインは反転して機械虫に突っ込んでいく。
「危険だ!」
ゼインが叫ぶがライトは腰に装備されたライトニングダガーを引き抜く。
振り上げた棘の腕で迎え打つ機械虫だったが動きが鈍い。
「そこだー!」
掛け声を上げてライトニングダガーを装甲の隙間にねじ込んだ。
ダガーの持つ放電攻撃によって胸部が二度爆発を起こし、それによって右脇腹のミサイル発射甲と胸部のビーム照射レンズの半分が大破する。
機械虫の反撃を回避して後方に離れたライゼインは右膝の損傷によって踏ん張れずよろめくと、間髪入れず赤熱化したような腕が振り下ろされ、それを横に転げてなんとかよけた。
「気をつけろライト、あの攻撃は装甲を容易に貫くぞ」
「わかった」
走り回りながらミサイル攻撃を回避し、直角に向きを変えて機械虫に突っ込んでいく。
「やるぞ、ゼイン!」
「勝機を我が手に!」
機械虫の肩のスリットから鋭い光の刃が複数飛び出した。飛来する光の刃を最小限の動きで避けると、頭部の意匠である左の角と走る勢いで振り回されている左腕が上腕から斬り飛ばされる。
さらに機械虫の胸部中央の装甲が開いて、そこから現れたビーム発射口のレンズに光が集まり始めた。それは超遠距離からライゼインの左肩を破壊したあのビームに他ならない。
「ここが勝負だ!」
「おう!」
正面から突撃するライゼインに向けて高エネルギービームが放たれる瞬間、
「スピリットリアクター、オーバーロード!」
ライゼインの動力炉でありオーバーテクノロジーの中枢、スピリットリアクターの安全装置が解除され全開を超えたリミットオーバードライブされる。搭乗者の精神及びゼインの超AIが発するエネルギーを取り込んでこれまでにないほどの出力を叩き出した。
「ブラストウェーーーーブ」
走るライゼインの前方の空間が歪んで見える。そこに機械虫の高エネルギービームが飛び込むと弾けるように四散した。
超高エネルギーを射出した機械虫は動きを鈍らせる。そう、それがライトの言う勝機だ。
「ここだ!」
膝に損傷を持つ右足を踏み込む。異音を発し小さな煙を上げる膝は、最後の力を振り絞ってライゼインの重量を支えた。
「トールハンマー!」
ハンマーナックルにサンダーボルトを超える出力の電撃打ち込むトールハンマー。膝同様に中規模の損傷を持つ腰の回転は最小限に、右足の踏み込みに対して右腕を突き出すその動きは中国拳法のそれである。
百九十トンあまりのライゼインがスラスターによって加速して、その運動エネルギーをも込めたトールハンマーが機械虫に直撃した。
ライゼインの右拳が強固な装甲に覆われた機械虫の腹を穿った。そして、先ほど刺したライトニングダガーとの相乗効果で、空気が爆発するような音をさせて電撃が機械虫を焼き上げる。同時にライゼインの右腕もその負荷に耐え切れずに機械虫の体の中で弾け飛んだ。
「うわぁぁ」
爆発によってよろめきながら後ろにたたらを踏む体をなんとか支えて踏ん張るライゼイン。
「トドメだっ」
ライゼインの胸部装甲板が展開し、機械虫と同じようなレンズが現れる。
「ビーム兵器はお前たちの専売特許じゃないんだぜ」
両腕を失ったライゼインは最後の力をビーム発射装置である胸部レンズに集中させた。
「ファイナルビーム!」
スピリッツリアクターから直結したライゼイン最大の兵装だが、いまだスピリッツリアクターが完全に解析されていないため、調整が完全ではなく今まで未使用だった。
爆発したように射出されたビームが機械虫に直撃し、頑強な装甲を融解させて各機構に爆発が起こった。もう一息で中枢を破壊できようというとき、不意にファイナルビームの光が消えた。
「どうしたゼイン?!」
ライトは突然の機能停止に声を上げる。直後胸部から小さな爆発が複数起こり、ライゼインは膝を付いた。
「ファイナルビーム発生装置にトラブル発生、リアクター出力二十八パーセントに減少。エネルギー残量十四パーセント」
「ぐっ」
リアクターのオーバーロードによって精神力を大きく消耗したライトは、虚ろな目で機械虫を見上げた。
ファイナルビームを受けて活動を停止していた機械虫が、ギシギシと音を立てて動き出した。動くたびに各部がバチバチとショートする機械虫だったが、どうにか手足を動かしすとライゼインに向かって不気味に目を光らせる。そして、右脇腹の装甲が展開された。
「レーザーアーマーだ」
「ダメだ、出力が上がらん」
ダメージによってミサイルは三発しか発射されず照準も狂っているため二発は足元に着弾し、一発は回避行動不能なライゼインの右胸部に炸裂した。
「がぁっ」
「胸部装甲板大破」
ライゼインの首の下にあるコックピットブロックにも損害が及び、計器類から火の手が上がる。その被害はパイロットスーツに身を包んでいるライトにも少なからずダメージを与えた。
ヨロヨロしながら迫りくる機械虫にライゼインは残った兵装のガトリングガンと背部ミサイルを全弾斉射した。攻撃は破壊された箇所へと命中して爆炎が上がる。
「ガトリングガン及びミサイルの残弾数ゼロ」
ゼインの状況報告が終わるや否や巻き上がる煙の奥から機械虫が倒れ込むように覆いかぶさってきた。六本の脚が体を抑えて締め上げ、フレームが悲鳴を上げ始めた。腕の棘がバックパックに食い込んで、背中で大きな爆発が起こる。
「背部ロケットエンジン爆砕。右肩関節脱落、腰部回転軸損壊」
次々に告げられる損害状況と赤く明滅しながら流れるアラート音。
「何か残っている武器は……」
「リアクター出力二十二パーセント。もうダメだ、ライトは脱出を」
ゼインは自身の戦闘力が皆無であると判断し、ライトに脱出を促した。
「あきらめるなゼイン。おまえを置いて脱出なんてできるわけないだろ」
「戦いはまだ終わりじゃない。ライトが生き残ればまだ負けじゃないんだ」
ライゼインの腹部で爆発が起こり、機械虫の脚ごと下半身がちぎれ飛ぶ。
「腹部エネルギータンク大破。リアクター出……リョ……ク……、ダッシュ……ツヲ」
「ゼイーン!」
ライゼインは完全に沈黙し、全身に流れていたリアクターの力が失われる。辛うじて抗っていたフレームは一気に抵抗する力を失い機械虫によって潰されていった。
「うわぁぁぁぁ」
コックピットブロックも同様に圧力によって潰され、ついにライゼインの体は爆散した。
地球人類の守護者、ライゼインの敗北。地面には吹き飛んだ頭部が転がり、その敗北を実感させる。戦いの一部始終は遠方からのテレビ局の撮影によって世界各国に流されていた。
この状況でもネット上では無責任な書き込みが後を絶たない。テレビ画面越しの出来事をアニメや特撮のように感じ、明日の我が身に降り注ぐかもしれない危機だと想像すらできない者が多数いるのだ。
突然、空気をつんざく音が鳴り響いた。そして、動きを止めていた機械虫が起き上がる。
「攻撃開始」
辺りを見回す機械虫に向けて自衛隊は発砲を再開した。
「撃て撃て、撃ちまくれ!」
ライゼインの完全敗北を受けて、現場の隊員が上層部の命令ではなく自己判断で攻撃を指示した。一時混乱によって陣形を崩していた戦車部隊と待機していたヘリ部隊は持てる火力をすべて出し尽くし、機能停止寸前と思われる機械虫を攻撃する。だが、全弾撃ち尽くしても機械虫を破壊することはできなかった。
勝利の雄叫びのように怪音を鳴り響かせる機械虫。例えこの機械虫を倒したとしても次の機械虫が現れたとき、人類は対抗できないだろう。そういう絶望が人々の心によぎったときだ。
ズガーン
上空から新たな何者かが現れた。
全身の大半は青く、一見ロボットだがどこか人間のようなたたずまいの巨人だった。全長はライゼインと同じくらいだが、あまり武骨な感じではなくてしなやかな体躯をしている。
突然の出来事に見ている人々の思考は止まっていたが、機械虫だけは思考を止めることなく青い巨人に向かって行き、赤熱化した棘の腕を振り上げた。
ライゼインの装甲を貫くであろうその攻撃を、青い巨人は左腕で受け止める。
「でりゃぁ!」
掛け声と共に繰り出された右ストレートが機械虫を吹き飛ばした。ライゼインよりも細身な巨人だったが攻撃はあきらかに効いていた。ふらつく機械虫に格闘戦を仕掛け、一方的に攻撃を打ち込んでいる。
それを見た人々は押し寄せていた絶望という波を跳ね返して声を上げて応援し始めた。
その声援に応えるように青い巨人は怯む機械虫に組み付いた。
「うおぉぉぉぉぉぉ」
機械虫の損傷した腹部を掴むと咆哮のような声を上げ、真っ二つに引き裂き破壊する。
ライゼインの全力の攻撃を受けても破壊することができなかったA級の機械虫は、突如現れた青い巨人によって完全に活動を停止したのだった。
自衛隊員はしばしの沈黙から一転、一気に歓喜の声でその勝利を喜んだ。当然世界中でも新たな守護者の誕生に湧き上がっている。
青い巨人は残骸を地面に落とすと辺りを見回し始めた。そして、何かを見つけたようにその場所に向かって歩き出す。巨人の向かったその場所にはライゼインの頭部があった。
「ライゼイン」
巨人は小さな声でライゼインの名前をつぶやくと両腕で優しく抱え上げる。
すると上空から巨人よりもさらに巨大な飛行艦が現れて、青い巨人を乗せて空へと消えていった。
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