第328話 大瀑布(ばくふ)(改)

温かいコメントと誤字報告、いつもありがとうございます。

何回も見直して居るのに減らないこのミス・・・。

米国の映画&ドラマで、「リミットレス」ってのがありまして、ヤバイ新薬がでてきて、飲むと滅茶滅茶頭が良くなるんですが、マジで欲しい・・・誰か、早めに開発して下さいm(__)m

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領都から北東方面に向かう街道を行けば、目的の大瀑布ばくふへとぶち当たる。


距離的には一般の馬車で1日ぐらいらしいので、マダラ達なら、夕方までは到着するのでは無いかと思っている。


この領の一大観光地である大瀑布ばくふへの街道は、綺麗に整備されていて、轍なども無く、B0曰く走りやすいらしい。

もっとも、彼らには悪路だろうが物ともしない走破に関する無敵のスキル『足場強化』があるので、実質関係無いと言えば関係無いのだが、疲労度が違うらしい。


一応、対向する馬車や、他の歩行者とかが居る際には、安全に気を配って、相当にスピードを抑えて、距離を保つ様にしているのだが、それでも、異様に見えるらしく、驚く様な表情で、我々の馬車を人々は目で追う感じだ。

まあ、速いし、付与の効能で全然車体が揺れないからね。



そんなこんなで、今朝出発して、3時間過ぎた丁度正午頃、目的地の大瀑布ばくふへと到着してしまった。


大瀑布ばくふは、流れ落ちる上側と、下側に、それぞれ町があり、そのどちらも同様に栄えた旅館街という感じである。(らしい)


折角の一大観光地と言う事で、王宮で、学校での勉強や日々の訓練に勤しむ子供ら3名(リック、サチちゃん、エリック)をゲートで呼んで、合流させた。


まずは、上の町のお薦めの宿にチェックインだ。

馬車とマダラ達を宿に預け、スタンバっていたシャドーズと合流して、大瀑布を一望出来る、展望スポットに全員で移動してみた。


「これは凄いな! 幅も凄いし、水量も凄い。滝の落差も70~100mはありそうだし、確かに、これで落ちると、助からないだろうな。普通は。」

と俺が感嘆の声を上げると、全員が同意していた。 だが、多分、俺やコルトガさん、コナンさん、サスケさん辺りなら、落ちても大丈夫そうな気はする。身体強化全開とか、結界張るとか、風魔法でクッション代わりの空気を纏うとか、幾つか思い付く方法はあるし。

まあ、体育会系の打ち上げ宜しく、その場のノリだけで、ウェーイとバカの様に飛び込んだりはしない。そもそもそれ以前に、俺の場合はリアルに飛べる(マジでI can fly)だから。つまり、不意に後ろから押されも怖くは無い。

昔、東京タワーの展望台に行った時、ガラス張りの床の窓から地面を見て足が竦んで、股間がヒュンってなった覚えがあるんだけど、そう言う高所恐怖症的な感覚は、今となっては懐かしい。


リック、サチちゃんは、平気そうだが、エリックは怖い様で、ビビって俺の足に絡みついていた。


ちなみに、水飛沫が凄く、風で、巻き上げられるのか、滝の途中には、霧状に靄っぽくなっていて、下までは見通せない。雲の合間から指す日差しで、時折、虹が見えて、なかなか幻想的である。

ナイアガラの滝って、記憶だと、濁流で水が土混じりで茶色いイメージがあるが、こっちの大瀑布ばくふは限りなく透明で心が洗われる様なの正に清流。


SFやアドベンチャー物の映画とかだと、大きな滝の水の裏?滝壺に、洞窟があって、見知らぬ世界?や桃源郷に繋がって居たりするのが定番お約束だが、残念ながら、シャドーズ調べでは、その様なオプションコースは無かったらしい・・・。



そして、その水飛沫の所為か、ここら辺一帯の気温は低く、涼しい。


ただ、幻想的なのは素晴らしいのだが、ドドドドドーーという水の音が大きく、ユーちゃんは、ややビビり気味である。


大瀑布の凄さに飲まれて忘れて居たが、丁度昼時、お薦めの店で全員で昼食を取るとしよう。



案内された日本で言う所の展望レストランの様な高級食堂の一角にに全員で座って、人数分のお任せコースを注文した。


暫くすると、店の奥の厨房辺りから良い匂いが漂って来る。


メインは川魚香草の包み蒸しらしい。

更に、川魚の身をつみれにした、団子をいれたスープ(焼いた骨で出汁を取った澄んだ黄金色のスープ)、とパン。

どうやら、ここの名物の川魚は、鮎と、ヤマメの様な魚っぽい。名前は知らんけど。

で、メインの鮎っぽい魚蒸し料理だが、これが素晴らしく美味い。 香草も、ここら辺で獲れる、バブーという木の1枚1枚が大きな葉らしいのだが、この葉で、深皿の要右な葉の皿を作り、下ごしらえした魚と、ローズマリーっぽい香草と茸と塩胡椒だけという、シンプルな料理なのだが、

シンプルな調理法なのに、凄く良い香りが身にシッカリ着いていて、柔らかく、さっぱりしてるのに、頼りなくなど無い、満足感が残る味と言えば良いだろうか?

そして、付け合わせつみれ入りのスープ、これがまたヤバイ。骨で取った出汁で、品のある川魚の旨味が出ていて、そうだなぁ、うどんの汁のベースに醤油で若干整えただけでうどんのスープにに使えそうな味である。


俺だけで無く、ユーちゃんも含む全員が気に入った様で、美味しいと全員が笑顔で完食していた。


「これは大満足な美味しさだったよ!、シャドーズのみんな、調査と案内ありがとう!」

他のスタッフも口々に、案内してくれた、シャドーズの青年にお礼を言ってた。


いや、本当に、この展望食堂と、ポラプルだけでも、旅に出て良かったって言えるぐらいに満足したよ。 本当にありがとう!



昼食も食べ終わり、各々散策しながら先にチェックインした大瀑布の宿上館へと戻ったのであった。


尚、言うまでも無いが、この宿も素晴らしく綺麗で気配りの行き届いたな高級宿であった。

更に面白いのは、下(下流)の方には姉妹館の下館が存在しており、上下館の相互利用で、この世界では聞いた事の無い、「セット割り」なる割引制度があるそうな。


滝の音に慣れた様で、ユーちゃん、ビビらなくなった。 流石は俺の子である。


さて、寛いだ後に待ち受けはこの宿、一推しの展望風呂である。 しかし、残念ながら、防犯上の安全面から、大瀑布が展望出来るのは男湯のみらしい。

なんでも、過去に覗きで女湯を覗いた奴が居て、タイミング悪く、某貴族の令嬢の入浴を覗いた事で、発覚後大騒ぎになってしまい、展望出来ない様に改築したらしい。

何処の世界にも、バカなチャレンジャーというか、犯罪者はいる物だな・・・。


何故、チャレンジャーと言ったかというと、その覗いた方法が、ロープで宙吊りになって、展望風呂のガラス張りの外(下は70~100mぐらいの崖)覗いたという。

そんな事に命を掛ける程の根性というか執念というか・・・ね。


そりゃあ、俺は飛べるけど、そんな事にこの能力を使うか?と言われると、一応、否と言って置こう。


で、一推しの展望風呂、男性陣全員で入って来ました。

えっと、夕方頃、宿屋のスタッフにお勧めされた時間に入ったんですが、これが凄かった、丁度沈み掛ける夕日が滝えお照らす様に赤い日を指してて、大瀑布全体が、茜色に乱反射してて、それはもう、絵画の様な荘厳な世界な訳で、お陰で魅入ってしまって、湯あたりする者続出だよ。


慌てて上がって、全員にヒールかけたけどね。


宿で用意された夕食は、焼き魚がメインとなったメニューであった。

更に面白かったのは、スープの方には、つみれと芋等の野菜と茸に加え、うどんではなく、ワンタンでも無い,独特な小麦粉で練った様な麺が入って居た。

やはり、昼に想像した通り、相性が良く、俺はコッソリ、隠れて醤油を少し加えてみた。 更に美味しくなったが、この大陸には無い調味料だと思うので、俺だけの秘密にしておいたのだった。(調理人に失礼だしね)



一夜明けて翌朝、朝食後に、チェックアウトして、下の下館へと移動開始である。


直線距離なら、高低差はあれど、大した距離ではないのだが、高低差故に、クネクネと蛇行した道で下るため、スピードは出せずに何だかんだで、到着するまでに1時間程時間を要した。

どうせなら、件専用の一方通行にすれば良いのだが、こっちの世界では、そう言う発想がないらしく、狭いクネクネ道路で、昇りの馬車との離合が発生し、相手合っての話の為に、相手の操作技量が拙いと時間を食うわけである。ヤレヤレ・・・。


漸く昼前に到着し、下館へとチェックイン。早速セット割りを適用して頂きました。


昨日と同様に、見上げる様な展望スポットへと全員で赴き、轟音を響かせ、大量の水飛沫を上げる滝を見上げる我々。


ユーちゃん、音に慣れた事もあり、漂う水飛沫を浴びて、キャッキャと笑ってた。


昨日上から見た水飛沫靄、丁度ドーナッツ状になっていて、なかなか趣があって面白い。


一応、全員で、大瀑布をバックに記念撮影をした。



下のお勧め高級食堂で、美味しい昼食を食べたが、美味しい事は美味しかったが、一言付け加えるなら、お米のご飯と食べたかった!である。

もう、滅茶滅茶ご飯のおかずに合いそうな物だった。

この国には白米を食べる文化はないのかな?それともお米が無いのだろうか?


日本人としては、魚の塩焼きには醤油を垂らして、大根おろしと、白米である。 ヤバイな、想像しただけで、食べたくなってしまう。


という事で、新鮮な獲れたての鮎?とヤマメっぽい川魚を購入して帰る事にした。


魚在れば、旅の途中で、自分達で、焼き魚定食つくれるもんね。と内心で計画し、ホクホクしていたのだった。


宿屋までの帰り道、食堂で聞いた魚屋へと、ユーちゃんを肩車して道沿いのお土産屋っぽい店等を覗きながら進む。

日本の観光地であれば、三角形のペナントだっけ?あれとか、木彫りの根性とかの飾り物や、木彫りの熊的な物とか、微妙なキーホルダーやストラップとかは売ってるんだけど・・・驚く事にあったよ、この世界にも。


何の気なく覗いた店の軒先に、ヤマメをイメージした様なストラップ?が。


スマホも携帯も無いこの世界、一体このストラップは何に付けるのだろう?


俺が、熱心にストラップを見ながら考えて居ると、気に入ったと勘違いした店主のおねーさんが、

「いらっしゃい、旅の方かな? お目が高いね、このヤメッピーの巾着飾りに目を付けるとは!」

と、謎の答えをアッサリくれたのであった。


「ああ、なる程、巾着飾りなんだ! なる程~ じゃあ、折角だから、記念に親子3人分とあいつら(昨晩の一泊だけで王宮に戻って行った子共ら)のお土産で6個買うよ!」

と俺が言うと、


「毎度ありー! じゃあ好きなの選んでおくれ。代金は6個で6000ギート、小銀貨6枚ね」と言われ、小銀貨6まいを渡したのであった。


しかし、俺の周囲の者は、アケミさんも含み、「え?マジでそんなの買うの?」って目で見ていた。 うん、判るよ?気持ちは、俺も何気に高いって思ったもん。

でも、アケミさんに1つ渡すと、ニッコリ笑って受け取ってくれたよ。


魚屋に着く前にコナンさんに、地元の人に影響ので無い範囲での魚の購入の交渉をお願いしておいた。


魚屋に到着したものの、流石に時間が時間の為、殆ど残りが少ないとかで、今購入可能な物だけ購入させて貰う事にした。


「明日の朝、もう一度来れば、両種類、20匹づつは売れると思うぞ! まあ、獲れる数に限りあるからよ、勘弁な!」と魚屋のおっちゃんが言っていた。


「ああ、判った、勿論、地元住民に影響無い範囲で結構だから、また、明日の朝来るよ!」


と言って魚屋を後にしたのだった。


一泊を終えた翌朝、チェックアウト後、件の魚屋で、約束通り各20匹程購入し、大瀑布ばくふから出発したのであった。


え?下館の宿の事? まあ姉妹館だから、サービスも品質もほぼ同じで、素晴らしかったよ。


ただ、2つだけ、クレームを付けるとしたら、滝の音。上よりも下の方が微妙に響くんだよね。

という事で、夜寝る際には、魔法の静音結界を張って寝たので、俺達の部屋には問題無かったけど。他のスタッフ達には堪えたらしい。


さて、これからの進路だが、少し南東方向に逸れてから、大きな街道に合流し、ギュレット子爵領の都市を目指しつつ、北上して、王都を目標とする感じとなる。


シャドーズ・ツアーのガイドによれば、ギュレット子爵領は、畜産に力を入れて居て、ギュレット牛というブランド牛で有名なんだそうである。


日本の松阪牛や、山形牛、高千穂牛とかブランド牛あるけど、本当に美味しい牛肉って、本当に口の中で溶けるんだよね。前世で、一度だけ、結婚前に高千牛を食べた時には、本当に驚いた。

下手な味付けとか無くても、本当に美味しい肉は、塩だけで美味いんだよね。

確かに、ミノタウロスの肉も絶品だけど、そうそう手に入る訳でも無いし、家にもタンク・カウの従魔居るけどさ、家族になると食えないし、うちの大陸では、魔物以外の牛って、魔物のビック・ホーンぐらいで、放牧とかで飼う野は無理だし、普通の動物カテゴリーだと聞かないんだよね。


という事で、何を考えて居るかというと、本当に美味しい肉なら、10頭程買って、我が国でも増殖出来ないか? と思ってたりする訳です。


もっと気軽に、すき焼きとか食べたいし、きっと国民のみんなも喜んでくれる筈だし。

サスケさん経由の話だと、ギュレット牛美味かったって話だったし、結構楽しみにしてるのである。


ただ、問題点もあって、10頭ぐらいの数を纏めて売ってくれる、物か?という疑問がある。

昔日本でも、似た様な事件あったし、それを考えるとやっぱり、美味しい所だけ、人様の成果を盗む様で、気分的にスッキリしない。



それこそ、ギュレット牛ブランドを外に漏らすのと同じだし、売ってくれるのであれば定期的に輸入するのも吝かでは無いが、そうすると、余り、我々の魔道具等を使った合理化と糞による肥料作成等の恩恵が無くなるし、コストも高くなるから、現実的じゃないかも

知れない。


という事で、期待半分、過剰な夢は見ないつもりなのです。

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■■2022/09/30本文一部ストーリー補足追加■■

一部の読者様に前話で同行していた子供ら3名(リック、サチちゃん、エリック)が、この旅行にも同行していると、勘違いを受けた為、補足の明確に同行していない事が判る様に修正致しました。


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