第39話 どんな小言を言われるやら。

地リスは思ったよりも大きく、短い尻尾を持ってぶら下げると前足が草に擦れるようだった。

おまけに、重い。


「っとに丸々太って、、、

そんなだから、オオカミに捕まっちゃうんだよ。

運が悪かったね。。。」


折角の贈り物という以上に、さっきまでヨチヨチと草の上を歩き回っていて、本当はオオカミの胃袋を満たすために命を落としたあわれな動物を、

そこいらに捨てて帰る気にはなれず、アマリリスは苦労して持ち帰った。


台所で夕食の支度をしていたファーベルとヘリアンサスは、アマリリスの獲物に目を丸くした。


「あっ、タルバガン。

すごーい、どうしたの?」


「サンスポットがくれた。」


「サン・・・?」


「あ。いえ、何て言うのほら、アマロックが、、」


サンスポットやアフロジオン達のことを、アマリリスは臨海実験所で話していなかった。

自分だけの秘密にしておきたかったからだが、このうえ猛獣の友達がいるなんて言ったら、ファーベルにどんな小言を言われるか分からない。

しかしファーベルもヘリアンサスも、すっかり地リスに夢中の様子だった。


「肉だ! ばんざい!!」


「あー、食べれるんだ、それ。」


「うん、おいしーんだよ。

えっと、皮を剥ぐナイフは・・・」


「すっげぇー、ファーベルがサバくの?」


「サバくよ。でも大変だから手伝って。」


ぐったりした動物を調理台に載せ、ファーベルとヘリアンサスは戸棚の中をがさがさやってる。

アマリリスは慌てて二人に声をかけた。


「じゃ!

あと任せた。」


「うん、任せて。

あ、ごめん。まだお風呂沸いてない。」


「ん、、」


アマリリスは調理台の方を見ないようにしながら、シャベルで調理かまどの石炭をすくい、そそくさと台所を後にした。

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