第35話 気に入られた!?
そう思っていたのに、翌日衝撃的な話が待っていた。
『昨日はごめんね』
と、
『どうやら先方さんは
えっ、、、なんだって!?
『私ほぼしゃべってないのに』
そう返信した。
『うん、おとなしいほうがいいんじゃないかな?おばさんいわく、よっちゃんが
昨日の夜、
まさか気に入られるなんて…でも、本当に本人から気に入られたの?
干渉してきそうな人が姑になるようなとこへは嫁には行きたくない。
『断りたい』
正直に伝える。
『大丈夫?ちゃんと自分から断ることできる?』
断ろうにも連絡先がわからない。
昨日
「もうこの子ったら、何年も前から携帯壊れてんのに放置してるんだから!」と、
普通に社会人として壊れた携帯電話を放置したままでいられるなんて、ありえる話なんだろうか?
『連絡先がわからない』
そう返すと、
『だよね…私も彼に直接つながる連絡先を知らないのよ。私からおばさん通して断ってもいいけど…あのおばさんの性格だと、直接理由を聞かないと納得しないと思う』
理由なんて言えるわけがない。
昼休みは
——しかたないな——
午後の業務をこなすために事務所へと戻る。
現在の勤務先であるこの複合商業ビルは、来年には建て替えの予定がある。
最近の業務内容はそれに関連することばかりで、なかなか忙しい。
すでに退店しはじめる準備をしているテナントが続々と出ているのだが、なんだかんだ閉館日までは時間があるため空き店舗だらけにするわけにはいかない。
が、閉館までの期間限定出店となるとリスクがあるのかどこも及び腰で、なかなか誘致がうまくいかないようだった。
誘致をするのは私ではなく
近々入店予定なのは、100円ショップの大手チェーン店にファストファッションブランド、
そして、大手コーヒーチェーン店だった。
それでもまだテナントに空きがあるため、閑散としそうな予感がする。
「あーあ、小金持ちなお年寄り最後の聖地と言われたこのビルも、こうなっちゃうとはねぇ」
ここで私はいやなことに気づく。
なんだかんだパートの身分の私は、ビル建て替え期間中の保障がない。
恐らく一旦は契約が切られる形になるため失業状態になるのだが、次どうするか全く考えていなかった。
来年にはどうなっているのだろう?
どこか新たな仕事見つけ働けているのかな?
婚活がうまくいって、誰かと一緒にいるのだろうか?
全く想像ができない。
同じパート勤務の
本当にこの先どうしよう…。
早く結婚相手見つけなきゃ!と焦る気持ちが募るが、逃げるようにして決めたくはない。
もしかしたら私は婚活より先に再就職活動をしたほうがいいのかもしれない。
気づけば夕方4時、早番の退勤時間だ。
今日一日長く感じた。
——疲れたな——-
とぼとぼと事務所を出、エレベーターに乗る。
途中の階からお客様が乗ってくる、ほぼ全員が年配の女性だ。
結婚となると、母親を亡くした人以外は姑が存在する。
相手選びも大変なのに、姑が避けたいタイプとなると本当に婚活って大変だ。
一番最後にエレベーターを降りてエントランスへ向かう。
今日のインフォメーションは
——マッチングアプリかぁ、勇気あるなぁ——
実は先日一瞬マッチングアプリをダウンロードしたのは、彼女の結婚報告が影響していた。
けれども
慌ててアンインストールをしたのだった。
「おつかれ〜」
先に声をかけてくれたのは
「お疲れ様です」
続きて声をかけてきたのは、
「お疲れ様です」
私も挨拶を返す。
「そういえばさっき、
「ハヤセヨウコさんと名乗っていましたよ」
良かった、
「そうそう、そんな名前だった、やーね!すぐ忘れちゃうなんて」
「4時にあがること伝えたから、そろそろみえるんじゃないかしら?」
何の用事だろう?と思ったけど、昨日の件についてとしか考えられなかった。
「そうなんだ、ありがとう」
私はそのまま
「お友達?」
今日は日曜なわりにヒマらしく、まだ仕事中であるにも関わらず
「はい、小学校時代からの友人で」
「へぇ、そんなころから続いている友達がいるのね、すごいな!」
小学校のときから続いている友達がいることを伝えると、大抵驚かれる。
「あら、お見えになったわよ」
「あっ、
「ごめん、充電なくなってたみたい」
「やっぱりね、そんなことだろうと思った」
今日の彼女はカーキ色の半袖カットソーにベージュのロングスカートで涼しそうだ、それもそのはず、今日の最高気温は30度を超える予想だったから。
「今日なんか約束してたっけ?」
昨日の今日で、覚えはなかった。
「いや、急にごめんね。ちょっと話したいことがあってね…あ、先程はどうも…」
私は
——なんだろう?——-
イヤな予感しなしなかった。
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